セ・リーグ新人王レース 阪神・伊原陵人がリードも…未勝利の中日「金丸夢斗」が猛追!? 球団関係者は「1つ勝てば、一気に勝ち星を重ねてくれる」

 オールスターゲームも終わり、後半戦に突入する今年のプロ野球。個人タイトル争いも気になる時期となってきたが、やはり注目度が高いのは、新人王ではないだろうか。ルーキーはもちろん、入団2年目以上でもブレイクしている選手は多い。そんな新人王レースの現状について特集したい。今回はセ・リーグ編だ。【西尾典文/野球ライター】 【新人王に俺はなる】前半戦最後のDeNA戦で8回1失点と見事なピッチングを見せた中日・金丸夢斗投手の凛々しい表情 一軍であれだけの投球が  現時点では、阪神のドラフト1位ルーキーで、左腕の伊原陵人が、新人王争いのトップを走る活躍を見せている。  開幕当初は中継ぎだったが、6試合連続無失点と好投を見せると、プロ初先発となった4月20日の広島戦で、5回を投げて無失点の好投で初勝利をマーク。その後も安定した投球を続け、前半戦終了時点で19試合に登板、12試合に先発して5勝3敗1ホールド、防御率1.59という見事な成績を残している。 現在トップの活躍を見せる伊原陵人選手(阪神の公式ホームページより)  ただ、ドラフトではいわゆる“外れ1位”であり、ここまでの活躍は意外だったという声もある。他球団の関西担当スカウトはこう話す。 「大阪商業大時代は、もともとコントロールは良かったですが、体は小さく、技巧派の印象でした。大学卒業後、NTT西日本に入社して、ストレートがかなり強くなりましたね。ただ、体も大きくないので、プロで先発となると全てが平凡に見えてしまう危険性がありました。横に鋭く変化するボールがないので、左打者が嫌がるタイプの左投手ではなく、リリーフで大活躍するイメージも持てなかったです。想像以上にプロでもストレートが通用しているという印象ですね」  ただ、6月と7月に疲労もあって2度登録抹消され、前半戦最後の試合となった7月21日の巨人戦では、4月12日以来となるリリーフ登板でサヨナラ打を浴びて負け投手となった。7月に入ってから少し調子を落としているように見える。この点は不安材料だ。打者が有利と言われる夏場に、どこまで踏ん張れるかが重要になるだろう。  同じルーキーでは昨年のドラフトで4球団が競合した中日の左腕、金丸夢斗も新人王候補となる。キャンプでは昨年痛めた腰を考慮してスロー調整となり、一軍デビューは5月にずれ込んだが、ここまで8試合に先発して0勝4敗ながら防御率は2.41をマーク。先発投手が試合を作った基準と言われるクオリティ・スタート(6回以上投げて自責点3以内)をクリアできなかった試合は、わずかに1試合。前半戦で勝ち星がつかなかったのは、完全に打線の援護がないからだ。  中日の球団関係者は、金丸について以下のように話す。 「開幕当初はまだ少し不安があったようで、本当に良い時の状態には戻っていないとのことでしたが、徐々に調子は上がってきているようです。本調子ではないのに、一軍であれだけの投球ができる。さすがですね。チームの中にも何とか金丸に早く勝ちをつけたいという空気があり、それが野手にとってプレッシャーになっている部分はあると思います。ただ1つ勝ってしまえば、そういうものもなくなりますし、一気に勝ち星を重ねてくれるでしょう」 全体的に低調な印象  前半戦最後の登板となった7月21日のDeNA戦でも、プロ入り後最長となる8回を投げて1失点と見事なピッチングだった。チームも前半戦終盤に7連勝を記録したほか、メジャー通算42発の新外国人・チェイビスが後半戦から加入するなど、得点力の強化が見込める。金丸が、ここから一気に伊原を追い上げることも期待できそうだ。  リリーフでは、ヤクルトのドラフト3位ルーキーで、左腕の荘司宏太と、育成ドラフト出身で支配下登録されて4年目のDeNAの右腕、宮城滝太が存在感を示している。  荘司は開幕一軍入りを果たすと、デビューから12試合連続無失点を記録。5月に一度コンディションを崩して二軍で調整となったが、6月14日に一軍復帰を果たすと、前半戦は22試合に登板して12ホールド、防御率0.79と抜群の安定感を誇っている。  一方の宮城も、開幕から12試合連続無失点を記録するなど、登板した29試合中25試合が無失点で防御率は1.14をマーク。勝ちパターンでの登板は多くないが、安定感はチームの中でも上位だ。  先発に比べると、リリーフはどうしてもインパクトが弱くなり、新人王争いでは不利だが、2人ともチームに欠かせない戦力となっていることは間違いない。  一方の野手は、投手と比べると有力候補は少ない印象だ。その中で、後半戦に期待したい選手が、3年目のDeNAの捕手、松尾汐恩だ。  大阪桐蔭から2022年のドラフト1位で入団すると、1年目から二軍のレギュラーに定着。今年は初めて開幕一軍入りを果たすと、3月30日の中日戦でプロ初ホームランを放つなど、前半戦は56試合に出場して30安打、3本塁打、12打点、打率.242とまずまずの成績を残している。豪快なスイングが持ち味だが、それでいながらミート力もあり、三振が少ない。  守備面でも、たびたび盗塁を阻止しており、その強肩は一軍でも目立つレベルにある。山本祐大や戸柱恭孝とった実績のある捕手がいるため、どうしても出場機会が限られる。だが、山本が昨年と比べて、大きく成績を落としており、松尾に与えられるチャンスが増えそうだ。後半戦にさらに成績を伸ばせば、逆転での新人王が視野に入ってくる。  今のところ、伊原が頭一つ抜けていることは確かだが、パ・リーグと比べると全体的に低調な印象は否めない。それだけに、今回名前を挙げた以外からも、ここから強烈なアピールを見せる選手が出てくることを期待したい。 西尾典文(にしお・のりふみ) 野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。 デイリー新潮編集部

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