「たかがAV女優のくせに」と叩かれて…紗倉まな、興味の“動線”を作るのに副業は「必須」

インタビュー第4回  AV女優として13年間、第一線で活躍を続ける紗倉まな(32)。執筆活動やタレントなどマルチに活動を展開しながら、“本業”では今もその人気が衰えることはない。競争が激しい世界で、どのような心構えで仕事をしているのか。(全4回の第4回)  *** 【写真】「セクシー過ぎる」「たまりません」と反響…太ももチラリ、タイトなワンピ姿の紗倉まな。色気ムンムンの黒ドレス姿も  AV撮影は、基本的に大人側が考えた企画に沿って、私が出向いてただそれを体現するだけです。企画を練って動画を撮影して編集し、納品して世に送り出す作業も全て制作会社やアダルトメーカー側が行っており、私はパフォーマンスをするだけです。それも一つの表現ですが、あくまで「演じる」という部分に限られます。 紗倉まな  対して、執筆業はゼロから全て自分で考えて書くので、A Vに置き換えれば企画から納品までの全てを自分でやることになります。エッセイも小説も、世に送り届けるところまで自分が関わることができるので、それはとても楽しいです。同時に執筆業は自分の心と深く向き合い、言語化して精査していく作業なので、同じ「表現」と言っても、全く異なるものだと感じています。  ただ、AVの仕事で感じたことを執筆作品の中に落とし込んだり、その逆もあったりすることはあるので、行き来はしていると思います。  私が10年以上も「AV業界の第一線で活動を続けてこられて凄いね」と周りから言っていただけるのは、純粋に運が良かったことが大きいですね。現場ではどうしても「お姫様扱い」をされがちですが、自分の身の丈に合う言動をしなければという強い意識の中で、できることを毎回全力で、それが全てだと思ってやってきました。もちろん、そんな私を常に応援してくださっているファンの方のおかげで、AV女優の寿命が延びているのだとも常に感謝しています。  AVだけでは自分のことを知ってもらえるきっかけが少ないと感じていたので、他のジャンルの仕事にも挑戦して認知の間口を広げよう、と努力をするようになりました。例えば、執筆活動やコメンテーター、タレント業、ラジオなどがそうです。自分で「興味の動線」を作ってきた、という感覚です。  あとは、環境も大きかったと思います。サポート体制が整っている事務所だったこと、私が何か思ったことを言うたびに決してその意見を蔑ろにせず、周りの大人たちが徹底的に向き合ってくれるような環境だったことも、長く活動を続けられる理由の一つだと思います。 「漫画村」のような違法サイトが…  仕事自体については、向き不向きがあるんだなということを感じるようになりました。「向いてないな」と思っても世間からは評価されたり、自分としては「向いているな」と思っていても、世間からは評価されないことがあるとわかるようになってきました。そうした経験を経て、どうしたら自分をよく見せることができるか、自分が世間に求められていることは一体何なのか、を考えながら活動できていたように思えます。  デビューしてから数年の間は、仕事に対しては「がむしゃらに、とにかくオファーがきた仕事は全てこなす!」という、体育会系と言いますか、ガッツや熱量でどうにかぶち抜いていく「パワー系の考え」で取り組んでいました。  前までは向こうの意図を汲み取って、向こうが求めている通りに動く、という先方第一主義で仕事をしていましたが、今では自分が思うことや、業界に対して抱く違和感をきちんと言うようにしています。自分の身を置いている場所だからといって、業界を全擁護することも、うわべだけを掬い取ったようなきれいごとだけを言うような姿勢をとることもやめるようにしました。このあたりは大きな変化だと思います。  今、AV業界は斜陽産業と言われており、正直いつ潰れるかもわかりません。「漫画村」(違法な海賊版サイト)のような違法サイトがあって、作品がリリースされた翌日には、違法なアップロードがされてしまい無料で全編を見られるような状態になっているんです。海外のサーバーなので取り締まることもできない。売り上げ的には当然、大ダメージだと思います。  正式なアダルトのプラットフォームでも、DVDが50円セールや100円セールのような叩き売りになっているのを見ると、AV業界の全盛期はとっくに終わってしまったのだな、とも実感します。ギャラについては、私はデビュー当初から比べると3倍になったのですが、なるべく業界に貢献できるように自分ができることは最大限やっていきたいな、と常に思っています。  AV女優なのに他の仕事をしていると、「本業を頑張ってない」「お前はタレント気取りか」「たかがAV女優のくせに」などと叩かれることもあります。私としては、肩書きを「AV女優」と書いてもらいたいと常に言っているのですが、当然メディアに出演する際には先方の判断で「セクシー女優」と表記されてしまうことも多く、なぜか私がその表記によって他者から叩かれる、という謎の現象も起きていたり……。こうした葛藤はメディア露出をするにあたってついて回るものですが、かといって気持ちが折れることはありません。  昔はAVだけ売れていれば生き残ることができたかもしれませんが、今はパラレルキャリアの時代だと感じています。副業をやっていることが「必須」と言えるくらいで、執筆やタレント業をしていると「AVに専念しろよ!」とよく言ってくる人がいるのですが、それは木を見て森を見ずの状態だな、と冷ややかな目線で見てしまいます。AV以外で他者に知っていただけるきっかけを自分で作り出さないと、巡り巡って最終的にはAVの売り上げにつながらないので、AV女優を続けたいのならば別の仕事もしなければいけない、そういう時代です。だから私も、時代とともにできることは手当たり次第に全部やっていこうという気持ちでいます。  ***  第3回【「イッヌ様」と暮らし始め生活が激変 紗倉まな、愛犬がまろやかに閉ざしてくれた「家族コンプレックス」】では、愛犬「イッヌ様」との生活について語っている。 紗倉まな 1993年、千葉県出身。2012年、AVデビュー。著書に『最低。』(後に瀬々敬久監督により映画化、東京国際映画際のコンペティション部門にノミネート)、『春、死なん』(2020年度野間文芸新人賞候補作)、『うつせみ』、他にもエッセイ多数。近著に新エッセイ集『犬と厄年』。 デイリー新潮編集部

もっと
Recommendations

春夏連覇へ、横浜が21度目の夏の甲子園切符…東海大相模に大勝

夏の高校野球神奈川大会決勝が27日行われ、今春の選抜大会を制し…

炊飯器ポチッで「パエリア」に「ペッパーライス」が完成! ギャルが教える簡単!豪快な料理術【キリモリっ!】

日本テレビ「news every.」の桐谷美玲キャスターと森圭介キャスターの…

愛知・豊田市で鉄製の側溝のフタ約90万円相当が盗まれる 重さ約18キロ計31枚

愛知県豊田市は、側溝のフタ31枚が盗まれたと発表しました。 【写真…

【悠仁さま通学の筑波大学で異変】トイレ大改修計画の真相 発注規模は「3500万円未満」…大学は「在籍とは関係ない」と回答

7月11日、秋篠宮家の長男・悠仁さま(18)が、秋篠宮ご夫妻・佳子さ…

尽誠学園、9年ぶり12度目の夏の甲子園…高校野球香川大会

夏の高校野球香川大会決勝が27日に行われ、尽誠学園が6—2で英…

【 山�玲奈 】 3年目の「ピーター・パン」開幕へ 練習中にハプニング「フライングで楽しくなっちゃって…」

1981年に榊原郁恵さんが初代「ピーター・パン」を演じてから、今年で4…

《SNSへの勝手なさらし被害》障がい者の家族がいる女性が専用スペースに車を駐車したところ…「不正利用」と決めつけられ”言い合い”の動画が拡散

私人逮捕系YouTuberが警察に逮捕される事件が続いたとき、たとえ正…

Breaking Down出演の格闘家・ジョリー、天神祭会場近くで催涙スプレー被害 周囲には救急搬送された人も

Breaking Downで知られる格闘家・ジョリーさんが2025年7月26日、25日…

静岡林道土砂崩れ 登山者などの下山続く

25日、静岡市葵区の林道で発生した土砂崩れ現場付近では、27日も山小…

“大使館お墨付きグルメ”が700円! 農水省“地下職員食堂”に潜入! 誰でも入れる「公共食堂ご飯」ウラガワ大調査【それスタ】

特製ローストビーフ丼が950円!世界のローカルフードが格安で…。“大…

loading...