１９分間、ほぼ全て英語で語る 　【クーパーズタウン（米ニューヨーク州）＝帯津智昭】米大リーグのマリナーズなどで活躍し、日本人初の米国野球殿堂入りを果たしたイチロー（本名・鈴木一朗）さん（５１）の表彰式典が２７日（日本時間２８日）、同殿堂のあるニューヨーク州クーパーズタウンで行われた。 「今日、人生で３度目のルーキーになった」 　イチローさんは約１９分間、ほぼ全てを英語でスピーチし、「米国野球殿堂に入ることは、私の目標ではなかった。２００１年にクーパーズタウンを初めて訪れるまで、存在すら知らなかった。でも今日、ここにいることは本当に夢のようだ」と語った。 　冒頭では「今日、私は再び経験することはないと思っていた感情を抱いている。人生で３度目のルーキーになった」と切り出した。「１９９２年、オリックス・ブルーウェーブに高校からドラフトされた時。２００１年、２７歳で再びルーキーになった。シアトル・マリナーズと契約したときだ。そして私は、またルーキーであることを実感している。この偉大なチームに温かく迎え入れてくれてありがとう」。 　これまでの歩みを振り返りながら、妻の弓子さんに感謝の言葉を述べた。「私を最も支えてくれたのは妻の弓子だ。彼女も不安があったはずなのに、それを決して私に感じさせなかった。シアトル、ニューヨーク、マイアミで１９シーズンを過ごした間、彼女は全力を尽くして私を支え、励ましてくれた。彼女は私たちの家庭が常に明るく前向きな雰囲気になるように力を尽くしてくれた。私は選手として安定した成績を残そうと努力してきたが、彼女は私にとってこれまでで最も安定したチームメートだった」。 　その上で、「引退して間もなく、弓子とデートをした。スタンドに座ってマリナーズの試合を一緒に観戦した。現役時代にはできなかったことだ。ホットドッグを食べるという、アメリカ流の楽しみ方をした。野球を通じて得た経験の中でも、私を最も支えてくれた彼女と過ごすその時間が、一番特別な瞬間だった」と振り返った。 　殿堂博物館には、これまでに殿堂入りした元選手らのレリーフが飾られており、式典ではイチローさんのレリーフがお披露目された。大リーグ機構のロブ・マンフレッド・コミッショナーが、イチローさんの成績とともに紹介した。 　雨のために約１時間遅れで始まった式典には、これまでに殿堂入りした元選手らが多く参加。マリナーズで一緒にプレーしたケン・グリフィーさん、イチローさんの前にマリナーズで背番号５１をつけていたランディ・ジョンソンさんの姿もあった。会場には、「ＩＣＨＩＲＯ」の文字が入った背番号５１のマリナーズのレプリカユニホームを着たファンが多く見られた。 　この日は、イチローさんと同じ２００１年にメジャーデビューし、同じ１９年に引退した通算２５１勝の左腕、Ｃ・Ｃ・サバシアさん（４５）ら４人も同時に表彰された。