誰もが当たり前のように使うSNS。だからこそ、自分でも気が付かないうちに、SNSで周囲の人を困らせたり怒らせたりしていることも。 「褒めたつもりが、相手の気分を害してしまった…」「笑顔スタンプを送ったのに、嫌みと受け取られた…」「自分の投稿に、なぜか反応をもらえない…」「友達申請をしたら、関係が悪化した…」「良かれと思った投稿で、なぜか炎上してしまった…」 こうしたことにはすべて理由があります。そのためにもSNSという「問題」の公式を知り、きちんと使いこなすことが不可欠です。テレビ、ネットでの解説で大人気の著者が、確実に仕事でもプライベートでも役立つSNSの使い方をお伝えします。 『若者はLINEに「。」をつけない 大人のためのSNS講義』連載第41回 『「Z世代」だけが気にする「マルハラ」…大人世代には理解できない「特殊なコミュニケーション様式」が誕生した理由』より続く。 『気になるおじさん構文の特徴TOP10』 大人世代と若者世代のLINEが異なることは、定期的に話題となります。大人 世代のLINEは、「おじさん構文」「おばさん構文」と呼ばれます。 スマホ向けの日本語入力アプリ「Simeji」を提供しているバイドゥが実施したアンケート調査「Simejiランキング」の「Z世代が選ぶ!!『気になるおじさん構文の特徴TOP10』」(2022年8月)を見てみましょう。 (1) 絵文字・顔文字・記号を多用 (2) 文章中にカタカナを乱用 (3) 1度に送る文章が長い (4) 親しくないのにメッセージになるといきなりタメ口 (5) 名前は「ちゃん」「チャン」付け表記 (6) 句読点「、」が異様に多い (7) イマドキの若者言葉やヤンチャ系の言葉を使う (8) 返信がこなくてもメッセージを連投 (9) 聞かれてないけど自分の近況報告 (10)多すぎる改行 思い当たる人も多いかもしれません。実際、大人世代ではこのような特徴が該当するメッセージを送る方は多いです。 女子高生の間で流行した「おじさんLINEごっこ」 そもそものきっかけは、2017年に女子高生の間で「おじさんLINEごっこ」が流行したことです。女子高生たちは、父やバイト先の店長から来るLINEのメッセージに特徴があり、自分たち世代と異なることに気づいていました。それを言語化し、「あるある」に落とし込み、まねをして楽しんだのがおじさんLINEごっこです。 若年層向けのマーケティングリサーチを手掛けているテスティーが実施した、女子高生を対象とした「現役JKのぞき見企画【Vol.1】『おじさんLINEごっこ』の実態調査」(2017年8月)によると、「おじさんLINEごっこを知っていますか?」という質問に対して、2.1%が「知っている」と回答。ご飯や遊びの約束をする際に、自分のことを「おじさん」と呼び、顔文字を多用したメッセージを送っていると回答しています。 下にいくつかの例を挙げました。これらが、まさに「おじさん構文」そのものなのです。 つまり、おじさんLINEの特徴を整理してまとめたものがおじさん構文であり、その女性版がおばさん構文というわけです。当時から、若者世代と大人世代はLINEなどのメッセージにはっきりとした違いがあったのです。 このような違いが起きる理由は、それぞれの世代のコミュニケーションの違いによるものです。 若者世代と大人世代でLINEの使い方がちがう 大人世代は、LINEなども基本的には用件がある時しか送りません。それゆえ、「気になるおじさん構文の特徴TOP10」の(3)のように、メッセージが長文になりがちです。長文のため、読みやすくするために句読点をつけたり(6)、改行したりします(10)。相手がいつ読むかわからないので、誤解を生まないように絵文字や顔文字もつけます(1)。 メッセージを読んだ時にポジティブな印象を与えられるよう、絵文字・顔文字・記号を多用し、カタカナを使って(2)ライトな文章に仕上げます。 なお、(4)(8)(9)のようになるのは、単にSNSコミュニケーションに慣れておらず、距離感を間違ってしまったためでしょう。 一方若者世代は、用がなくても、コミュニケーションを目的にLINEを送り合います。文節や単語単位など、本来句読点を打つべきところで送っているため、句読点をつけることがまずありません。 チャットのようにスピーディでリアルタイムにやり取りされるため、絵文字や顔文字はメッセージを送るのが遅くなることから、ほとんどつけません。 大人:用件がある時に送る、長文、句読点あり、絵文字・顔文字あり、非同期型コミュニケーション 若者:用がなくてもコミュニケーションで送る、短文、句読点なし、絵文字・顔文字なし、リアルタイムコミュニケーション 『「おじさん構文」の原点はガラケーのメールだった…メールとLINEの違いが作り出した世代間の「SNSコミュニケーションの分裂」』へ続く。 【つづきを読む】「おじさん構文」の原点はガラケーのメールだった…メールとLINEの違いが作り出した世代間の「SNSコミュニケーションの分裂」