【バンコク＝水野哲也、マニラ＝竹内駿平】タイとカンボジアが合意した停戦について、タイ軍とカンボジア軍は３０日、それぞれ相手が停戦違反を行っていると発表した。 米国やマレーシアの仲介で停戦合意にこぎ着けたが、依然として対立は続いている。 タイ軍などによると、交戦は停戦が発効した２９日午前０時以降も各地で続き、タイ東部シーサケート県の国境地帯など複数の場所で、カンボジア側から小火器や手投げ弾による攻撃があったという。３０日朝には別の場所で砲撃があったと主張している。タイ軍は、カンボジア軍が部隊を増強しているとも指摘した。 タイ政府は２９日、停戦合意を仲介した東南アジア諸国連合（ＡＳＥＡＮ）議長国マレーシアと米国、停戦協議に参加した中国に対し、カンボジアによる停戦違反を通知した。 一方、カンボジア軍は３０日午後、停戦発効後に国境地帯でカンボジア兵２０人がタイ軍に拘束され、うち２人が殺害されたと発表し、停戦合意に違反する行為だとして非難した。タイ軍は「投降してきた兵士を拘束し、人道的な規範に従って待遇している」と反論した。 停戦の履行が危ぶまれる中、タイとカンボジアに駐在するマレーシア軍の武官は、それぞれ停戦監視チームを作る見通しだ。カンボジア国防省によると、３０日にはマレーシア軍など各国の代表団が国境地帯の状況を視察したという。こうした枠組みで停戦を維持できるかどうかが焦点となる。
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