ロシア・カムチャツカ半島沖で３０日朝発生したマグニチュード８・７の地震の影響で、この日は北海道や日本列島の太平洋側の広い範囲で朝から津波警報が出された。 　紀伊半島の先端に近い和歌山県田辺市では、地震発生から１時間もしないうちに多くの地元民が市役所に避難してきた。 「もともと田辺市役所は、海抜ほぼ０メートルの海岸近くにあったのが、最近、海抜約１９メートルの高台に移転しました」と明かすのは、建設業の地元会社員男性。 　男性はこの日内勤のため、仕事は通常通りだったという。「防災放送で『高台に逃げろ』と朝からひっきりなしに流れてましたが、津波警報は午後６時半に津波注意報に切り替わりました。夕方、電車が止まってたので、大阪から来ていた同僚は、北北西に約８０キロの和歌山駅まで車で送ってもらってました」 　田辺市は、南海トラフ地震がもし起きた場合の想定震度が７。海岸には最大１０メートルの津波が１５分ほどで到達すると想定されており、地元の扇ケ浜海水浴場ではつい３日前、津波を想定した毎夏恒例の避難訓練が行われたばかりだった。 　地震を受けて、紀伊半島の最南端、和歌山県串本町では３０センチの津波を観測。「この日はさすがに、串本の工事現場の作業はストップ。高台の駐車場には車が大集結していたと聞きました」と話す男性だが、一方ではこんな指摘も。 「防災放送と津波警報がしょっちゅう鳴ってましたけど、私の周りのみんなも気にしていたのは最初だけ。串本の知人も『高台上って津波見たろ思たのに何もなかったわ』と笑い飛ばしていたくらい。最近、災害が多いから、みんな感覚がマヒしているような気もします」 　南海トラフ危険エリアでさえ、危機感がそれほどでもない地元民が少なからずいるという。男性は「想定外の災害はいつ起きてもおかしくないし、避けられないから備えは必要。今日をキッカケに、あらためて、日々気を引き締めたい」と語っていた。