水平対向12気筒エンジン搭載!? 　石川県小松市には、トヨタやホンダ、日産といった国産車から、海外の高級車まで幅広く取りそろえている「日本自動車博物館」があります。日本でも最大級の自動車保有数を誇るだけに、珍しいクルマも多数展示されています。今回は「ジオット キャスピタ」について見てみましょう。 スバルの12気筒エンジンなんてあったの?（撮影協力：日本自動車博物館） 　ジオット キャスピタは1989年に誕生したスポーツカー。日本経済が華やかなバブル景気に湧く中始められた「ワコール・スポーツカー・プロジェクト」によって作られました。 【画像】超カッコイイ！ スバルの水平対向“12気筒”エンジン搭載「クーペ」を画像で見る（38枚） 　本プロジェクトは「公道を走れるF1マシン」をテーマに掲げるスーパーカー開発計画でした。プロジェクトに参加したのは、服飾メーカーのワコール、レーシング・コンストラクターの童夢、当時F1へ参戦予定だったスバルの3社です。 　製作に際しては、ワコールが出資した「ジオット デザイン」のデザインを元に、童夢が開発と製作を担当。ボディサイズは全長4534mm×全幅1996mm×全高1136mm。ホイールベースは2700mmです。 　エクステリアには、いかにもスーパーカーらしい流線形が採用されています。ドアは上に開くガルウイング式。側面には巨大なエアインテークを設置したほか、リアには可変式の大きなウイグを設け、空力性能を高めているようです。 　パワートレインは、スバルとイタリアの「モトーリ モデルニ」がF1向けに共同開発した、3.5リッターの水平対向12気筒DOHCエンジンを搭載する予定でした。駆動方式はミッドシップレイアウトのRWD、最大585馬力、最大トルク約38.2kgf-mとなっています 　その他、走行システムにはブレンボ社製のレーシング用ブレーキや、市販車とは大きく異なる「グループC」カテゴリのレースカーのような高性能サスペンションなどもしています。 　博物館に展示してあったのは1989年に作られた1号車です。車体はフル・カーボン・コンポーネントを使用したモノコック製となっています。車体重量は1100キロにまで抑えられているとのことです。 ※ ※ ※ 　前途洋々に始まったプロジェクトですが、その後F1撤退を決めたスバルが離脱。ワコールと童夢だけで何とか2号車まで開発されましたが、その直後にバブルも崩壊。残念ながら量産化は果たせず、ジオット キャスピタは幻の車両となりました。 　とはいえ、ジオット キャスピタが多くの自動車ファンの記憶に残ったことは間違いありません。博物館に行った際には、ぜひじっくり実車を見てみてください。