今こそランチアの出番!新型イプシロンに乗って思ったこと【日本版編集長コラム#41】

2006年に3代目イプシロンを新車で購入 ランチア・イプシロンと聞いて、1985年のY10を初代に数えて5世代あるうちのいずれかが思い浮かぶ方は、それなりにクルマが好きな方だと思う。洗車をお願いしたガソリンスタンドで、「ランチアの方」と呼ばれることはあっても、「イプシロンの方」と呼ばれたことは、過去一度もない。 【画像】カーボックス横浜で開催された5代目ランチア・イプシロンお披露目イベント! 全69枚 私は3代目ランチア・イプシロンのモモデザインという限定モデルを2006年にガレーヂ伊太利屋から新車で購入し、以来ずっと所有している。元々、左ハンドル、イタリア車のマニュアルしか選んだことがなかった車歴を持っていた私は、当時取材で乗ってすっかり気に入ってしまい、我が家に迎い入れた次第だ。 今回のコラム執筆のきっかけとなった、カーボックス横浜が輸入した5代目ランチア・イプシロン。 山本佳吾 そこから来年でちょうど20年。最初の5年くらいは他にレポート車を抱えていたためほとんど乗らなかったが、そこからは年間1万kmくらい乗るようになり、現在は約10万8000kmの走行距離となっている。 1年前に東京都内から静岡県東部に移住してからは、さすがに長距離で酷使するには辛くなってきたこともあり(特に今の時期はエアコンの効きが心もとない)、現在は経年劣化で使えなくなったボディカバーを新調し、屋根のある自宅車庫で骨を休めていることが多い。 そんな中で先日、うちのイプシロンにお呼びがかかった。カーボックス横浜が輸入した5代目となる新型ランチア・イプシロンのお披露目イベントで、私がトークショーのMCを務めることになり、そこに並べることになったからだ。 大人が落ち着いて乗れるクルマに仕上げる手法 カーボックス横浜の代表を務める吉田友宣さんは、ここ10年くらい仲良くさせて頂いていて、ジュネーブやパリのモーターショーへ何度も一緒に行った仲だ。 そんな彼がイプシロンを輸入すると聞き、いろいろと話をする中で、先日公開した渡辺敏史さんの試乗記事が実現。さらに渡辺さん、吉田さんと3人で話すトークショーのMCを担当する流れになった。 7月26日にカーボックス横浜でお披露目イベントを開催。筆者はトークショーでMCを担当。 山本佳吾 新型イプシロンは私も横浜から都内まで試乗し、かなり魅力を感じている。それは各世代のイプシロンが持っていた、その時代の素材をうまく活用して大人が落ち着いて乗れるクルマに仕上げる手法を、しっかりと受け継いでいたからだ。 ランチアはストラトスやデルタのラリーイメージが圧倒的に強いが、基本的にはエレガントという言葉が似合う上品なクルマが多い。それは1906年にヴィンチェンツォ・ランチアが誕生させたブランドが、ずっと矜持として大切にしてきたことだ。 5代目イプシロンは、プジョー208やオペル・コルサときょうだい車となり、フィアット600やアルファ・ロメオ・ジュニアなどとも親戚関係にある。それだけ聞くとネガティブに捉える方もいらっしゃるかもしれないが、むしろ歴史的に見ればそれは逆で、プラットフォームなど中身の共用が進む現代こそ『ランチアの出番だ!』とすら思う。 作り手もランチアというブランドをよく理解している 新型イプシロンは現代の欧州Bセグメントモデルとして日常域で普通に使いやすく、デザインは大人っぽくて上品。しかし、今回カーボックス横浜が輸入したマイルドハイブリッドモデルに関して言えば、街中で「今ちょっと速めに走りたい」という気持ちへ瞬時に応えてくれるキビキビ感もあった。SUVやクロスオーバー全盛の中で、普通の5ドアハッチバックなのも、心地よさを覚えさせる部分だ。 こうしたモデルを出してこられるあたり、作り手もランチアというブランドをよく理解していると思う。ならばマニュアルの設定こそないが、イタリア車の左ハンドルだし……とときめきが止まらない。 偶然にも当時イプシロンの販売を担当した林一也さん(左)と再会。筆者(右)と思わず握手。 山本佳吾 世の中的には冒頭で書いた例が示すように、私のような嗜好は少数派だ。ニュートラルにクルマを扱うAUTOCAR JAPANの編集長として、ここまで偏ったところに立ち位置があることはいかがなものかという想いもある。 しかし、時に偏愛かもしれないが、『クルマへの愛情を持つ』ことは大前提であり、それなしに、『状況によってははっきりと書く』というスタンスを守ってきたAUTOCAR JAPANの記事は作れない。それが編集長に就任してちょうど1年が立ち、強く感じていることだ。 なお、初心者ドライバーも1年立つと若葉マークが外れるということで、今回からタイトルを『新米編集長コラム』から『日本版編集長コラム』へと変更させていただいた。時には偏りながら、フラットかつニュートラルな視点で、AUTOCAR JAPANをより自動車愛に満ちたサイトにしていく所存だ。2年目もどうぞご期待ください。

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