【ポースコール（英）＝平地一紀】女子ゴルフの今季メジャー最終戦、ＡＩＧ全英女子オープンは３日、英南西部ポースコールのロイヤル・ポースコールＧＣ（パー７２）で最終ラウンドが行われ、山下美夢有（みゆう）（２４）が３バーディー、１ボギーでスコアを二つ伸ばし、通算１１アンダーでメジャー初優勝を果たした。 　日本女子では６人目（７度目）のメジャー制覇で、全英女子を制するのは２０１９年の渋野日向子（２６）以来。 　２位と１打差の首位でスタートした山下は、前半９ホールで３バーディー。後半は、１７番でボギーを出したほかはパーで回り、２日目からの首位を守った。優勝賞金は１４６万２５００ドル（約２億１６００万円）。 　２打差の２位に勝みなみ（２７）が入り、竹田麗央（２２）は通算７アンダーの４位だった。 「決めたことを淡々と」前日も父とスイング修正 　人だかりがグリーンを取り囲んだ最終１８番。山下がパーパットを沈め、優勝を決めると、ともに戦った同学年の西郷真央（２３）らが祝福に駆け寄った。「歴史ある大会で、ここに立つことができてうれしい」。山下は、場内インタビューで穏やかに喜びを語った。 　身長は１メートル５０と小柄。海外勢に比べて飛距離が出ない分、ショットの正確さを磨いてきた。風が吹いた最終ラウンドで出したボギーは、１７番の一つだけ。「プレッシャーはあったけれど、決めたことを淡々とすると決めていた。長いパーパットが入ってくれて耐えられた」と冷静に振り返った。 　大阪府出身で、５歳でゴルフを始めた。２０２２年に史上最年少で日本ツアーの年間女王に輝くと、２３年も同じタイトルを獲得。２４年のパリ五輪は優勝争いを演じた末に４位となり、今季から本格参戦した米ツアーでは、ボギーを出さずに回り終えた数を示す指標でトップという安定感を誇る。 　前日はスコアを二つ落とし、コーチを務める父の勝臣さん（５０）と、日付が変わった後もスイングの修正に取り組んだという。父の撮った動画で頭のぶれを見つけ、「細かい部分に気付けたので良かった」と山下。やるべきプレーを大舞台でも実践し、メジャータイトルをつかんだ。（平地一紀）