日本株、石破首相がトランプ大統領に約束した「対米80兆円投資」で株価急上昇期待の「プロ厳選5銘柄」

日米関税合意では、日本から米国への最大5,500億ドル(約80兆円)にのぼる巨額の投資枠が盛り込まれた。日米関税合意に基づく巨額の対米投資と、国内における積極的な投資姿勢は、グローバルで強みを発揮できる設備投資関連企業の成長を後押ししてくれそうだ。日本株市場の新たな主役として、設備投資関連銘柄が台頭する可能性が高まりつつある。 政府系金融機関による出資・融資・保証の枠として設定されたもので、対米投資枠の詳細や、実際に枠が使われるかについては不透明な部分が多い。とはいえ、関税引き下げと引き換えに交わされた約束だけに、投資が進まなければ再び関税が引き上げられる可能性も示唆されている。米国での事業拡大に前向きな姿勢を見せる企業は増えることが予想される。 EU(欧州連合)も6,000億ドル超の対米投資を約束している。さらには、トランプ政権による減税措置の効果もあって、米国自身も設備投資の回復期を迎えている。多くの不確実性をはらみながらも、各国が米国内への投資を強化する公算は大きいと言えそうだ。工場の自動化やインフラ関連の分野などで、グローバルレベルで強みを発揮できる企業にとっては中長期的な成長が期待できるだろう。 キーエンス(6861) ■株価(8月1日時点終値)56830円 最低投資金額が高すぎて、個人投資家にとっては株式分割が待たれる高嶺の花。それでも単元未満株や端株(1株から株式を購入できる制度)を利用した投資も一考の価値がある銘柄だ。マクロ経済の悪化時にも業績が相対的に底堅い傾向があることも心強い。米中貿易摩擦やコロナ禍でFA関連企業の多くが収益を悪化させた2020年度も、同社の業績は底堅かった実績がある。 最大の特徴は、自社工場を持たないファブレス経営(製造を外部委託するビジネスモデル)と、代理店を介さず顧客と直接取引を行う直販営業を基本戦略としている点だ。顧客のニーズを的確に把握し、それを製品開発に迅速に反映させることで、高付加価値な最先端製品をいち早く市場に投入し、高い収益率を維持している。 関税政策に伴う生産拠点のシフトや、それに伴う合理化・自動化のニーズを事業機会として捉えることも期待できる。同社は、製造業における省力化や効率化の需要を自ら創造するコンサルティング営業を強みとしており、生産拠点の変更や人件費高騰、人手不足に対応した自動化シフトといった「モノづくり現場の変化」を事業機会に変えることが可能だろう。 ローツェ(6323) ■株価(8月1日時点終値)1957.5円 製造現場で使用される搬送システムが主力事業だ。米国の半導体製造装置メーカー「アプライドマテリアルズ」や、米国における先端半導体製造事業への投資を続ける台湾TSMCなどを主要顧客に持つ。半導体製造の前工程(半導体の回路形成を行う工程)に特化し、高い信頼性とクリーン度を要求される環境に対応した付加価値の高い製品を提供していることを強みとしている。 新たな事業領域への進出にも注目したい。同社が連結子会社化した米オレゴン州の半導体製造装置メーカー「ナノバース・テクノロジーズ」が強みとするアドバンストパッケージ(複数の半導体チップを統合する高度な技術)は、AI技術の発展とデータ処理需要の急増を背景に、今後のさらなる成長が見込まれる分野だ。 当面はのれん償却費(買収価格と純資産の差額を費用として処理すること)や販管費(販売費及び一般管理費)の増加による減益が予想されるものの、2027年2月期以降は、売上計上とシナジー効果が期待される。 ファナック(6954) ■株価(8月1日時点終値)4372円 関税政策によって自動車産業を中心に米国への生産回帰が進む場合、工場の自動化を担うファナックのロボットやCNC(コンピュータ数値制御)装置の需要が拡大し、事業機会となると考えられる。米国ではインフラ関連や新エネルギー車に代表される高度な製造業の設備投資も拡大しており、ロボットやCNCを中心とするFA(ファクトリーオートメーション)の販売が好調に推移している。 2026年3月期の営業利益計画は、前期比横ばいの1,595億円と発表された。2025年8月1日から適用される15%の関税率によるコストアップ影響を考慮して算定されたものだが、計画値は保守的と考えてよさそうだ。同社は顧客への価格転嫁を進める意向であり、関税によるコストアップ影響の大部分は吸収される見込みだ。 ハイエンド領域(高性能・高機能製品の市場)で高い競争力を持つ同社は、CNC装置では世界トップシェア、産業用ロボットでも世界有数の地位を築いている。米国企業との競争は少なく、関税によるコスト増をサーチャージ(追加料金)による価格転嫁で顧客に転嫁することは十分可能と想定される。 オークマ(6103) ■株価(8月1日時点終値)4160円 地域別の売上高構成比率では、米国事業は日本事業とほぼ同じ30%と高く、米国の製造業回帰を取り込みやすい工作機械メーカーといえる。高い競争力を持つ門形マシニングセンタ(門型のフレームを持つ大型の工作機械)は、関税の売価転嫁が可能とみられ、同社収益への直接的な影響は限定的だろう。 工作機械の受注サイクルからも期待できるデータがある。直近ではダウンサイクル(下落局面)が過去2年間続いており、過去のサイクルパターンからは次のアップサイクル(上昇局面)を迎える機が熟しつつある。実際、米国では世界的な技能労働者不足が課題となっており、工場の自動化や省人化に対応する設備を導入・更新する必要性が高まっている。こうしたトレンドは、オークマが強みを持つマシニングセンタの需要回復に直結する公算が大きい。 牧野フライス<6135>がTOB(株式公開買付け)の標的となった事例からも明らかなように、業界再編の機運が高まり、低PBR(株価純資産倍率が低いこと)の工作機械メーカーの資本政策や株価対策には注目が集まっている。ネットキャッシュは時価総額の15%強を占める同社にも施策を期待したいところだ。 アドテスト(6857) ■株価(8月1日時点終値)10215円 半導体の良品・不良品を電気的に検査する「半導体検査装置(テスタ)」において、メモリ(DRAMやNAND)向けとSoC(プロセッサ、メモリ、入出力ポートなどのシステムを集約した半導体)向けにおいて、いずれも世界シェアトップを誇る。米国での半導体投資の活発化は、半導体製造の最終工程で不可欠な検査装置に対する需要を拡大させる公算が大きい。 特に、AI(人工知能)市場の急速な拡大が追い風となっている。生成AIを動かすには高性能なGPU(画像処理半導体)とHBM(広帯域幅メモリ)が大量に必要となる。これらの高性能半導体は、複雑な構造と大容量化、高速化が進んでおり、テスト項目の増加と検査の長時間化は、テスタ需要を拡大させよう。 米エヌビディアの新製品開発サイクルも短期化しており、今後も新世代のGPUが次々と市場に投入される予定だ。世代が進むごとにトランジスタ数が増え回路が複雑になるため、さらにテスタ需要を拡大させると考えられる。米国が今後発表するとされる半導体関税については現段階で不明だが、高性能な半導体市場で強力な顧客基盤と高い技術力を持つ同社への影響は乏しいと考える。 設備投資の需要が高まりそうなのは、実は日本国内でも同様だ。日本銀行が2025年7月1日に発表した日銀短観(日本銀行が全国の企業を対象に行う経済観測調査)では、大企業・全産業の2025年度設備投資計画が前年度比で11.5%増と、4年連続で2桁増を記録した。AI(人工知能)向けの投資が旺盛であることに加え、日米関税交渉の合意が自動車や機械関連の投資意欲をさらに高めることが期待されている。これまでは関税騒動の行方を懸念視する声の多かった設備投資関連の企業だが、日本株市場における注目度が高まっていきそうだ。 「宇野沢茂樹」の名前を不正使用した偽のSNSアカウントが確認されています。投資詐欺等に悪用される恐れがあるため、ご注意ください。SNS等で個人名義の情報発信は一切行っておりません。 【マンガ】約20年前にマイクロソフト株を「100万円」買っていたら今いくら?

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