学歴詐称疑惑をめぐり、静岡・伊東市の田久保市長は、8日午後、百条委員会が要請した「卒業証書とされる文書」の提出を再度拒否しました。一方、市長が続投の理由に挙げた“メガソーラー計画”について、各方面から疑問の声が上がっています。 午前9時前、伊東市役所に姿を現した田久保真紀市長。 (記者) 「きょう提出は?」 (伊東市 田久保 真紀 市長) 「…」 おととい・6日、市長の経歴問題などについて調査する市議会の百条委員会から再度、「卒業証書」とする文書の提出と「証人尋問への出頭」を求められましたが…。 8日の午後4時が文書の提出期限となっていました。 田久保市長については辞職の意向を一転させた「続投理由」についても物議を醸しています。 (伊東市 田久保 真紀 市長) 「私の公約でもあります、新図書館建設計画の中止、そして、伊豆高原メガソーラー計画の白紙撤回という、これはもう私に与えられた使命。現在、メガソーラー計画も、新図書館建設計画も、水面下で激しく動いております」 これに対し、県の副知事時代に伊東市のメガソーラー計画の対応にあたった静岡市の難波市長は、今週、市長の「続投理由」に疑問を呈しました。 (静岡市 難波市長) 「市長がいなければメガソーラーは止まらないということはないということですね。すでに止まっていて、それを頑張っていたのはかつての伊東市の職員…」 2014年ごろから韓国系の企業などが伊東市八幡野で進めてきたメガソーラー計画。36ヘクタールの広大な山林に12万枚の太陽光パネルを設置する計画でした。 地元住民は、開発による土砂災害のリスクや景観悪化へ懸念から反対運動を展開。この時、住民団体の中心メンバーだったのが田久保市長でした。 そして、2018年伊東市でメガソーラー建設を規制する条例が施行。 市はこの条例を根拠に、事業者が工事のため橋や排水管を設置しようと申請した河川占有許可に「不許可」の処分を出しました。事業者は処分の取り消しを求めて裁判となり、その結果、一審で市は敗訴しますが、二審では一転、市が実質的に勝訴となりました。現在、工事はできない状況となっています。 7日、建設予定地を訪ねてみると…。 (記者) 「この道の先がメガソーラーの建設予定地となっています。現在も建設が止まっているため、あちらに見えます詰所には人影が全くありません」 さらに市長自身も「メガソーラー関係は終わっている」と明言していたことも分かりました。 これは5月、市長に当選後ある市議に送られたSNSのメッセージ。 市議が市役所でメガソーラー計画に賛成の立場の市民とすれ違い、「何か動き出したのか」と聞いたことに対して田久保市長は…。 (伊東市議に送られた田久保市長のSNSメッセージ) 『河川の許可がでることはなくなりましたから、メガソーラー関係は終わりなので。何やってるんでしょうね?もりのこうえん関係でしょうか』 このやりとりが一部で報道されたことに対し。田久保市長は8日朝…。 (田久保市長のSNS) 『私が市長である限りメガソーラー計画に王手をかける八幡野川への河川占有許可を出さないことはこれは当たり前のことです。しかし、他の人が市長につけば、何らかの理由で不許可が解除され、許可が出てしまう可能性を完全に否定できない。故に、メガソーラー推進派が市長になれば不許可が取り消されて許可が出ることもあり得るのです』 このように反論しました。 そして、8日、参加した市の幹部職員との会議でも「メガソーラー計画が水面下で激しく動いている」とした市長の発言について職員から質問が出たといいます。 (伊東市 建設部 高田 郁雄 部長) 「『水面下で激しく動いているということはどういうことですか?』と聞いたところ、『裁判も続いているでしょ』というお話でしたので、それは水面下で激しく動いているということではなくて、みなさんもう周知の事実で、何か市としても隠してるわけではなくてですね、裁判が行われているということなので、『それは違うんじゃないですか』というようなお話はしたところです」 会議の中で田久保市長は、「ホームページ上で後日訂正する」と話したということです。 また、会議では、これまでの苦情のほかに、「市長への殺人計画が進んでいる」「庁舎を爆破する」など脅迫電話が確認されたことも報告され、市は警察に相談したといいます。 そして… (期限直前 8日午後3時45分・市議会議長室) (徳増 ないる キャスター) 「田久保市長の姿が見えました。Q.市長、教えてくださいい『卒業証書』は出しますか?出しませんか?…茶色い封筒を持って、今、議長室に入っていきます」 (伊東市 田久保 真紀 市長) 「期限が来ましたので…」 (伊東市議会 中島 弘道 議長) 「以前の回答書は正当な理由になっていませんよ」 (伊東市 田久保 真紀 市長) 「中の方をしっかり確認の上…お願いいたします…」 (伊東市議会 中島 弘道 議長) 「みなさんに回答させていただいていいですか」 そして、この後、議長・副議長と市職員が回答書の中身を確認。中島議長が報道陣の質問に答えました。 (伊東市議会 中島 弘道 議長) 「今回は記録の提出の拒否ということで…。拒否の理由は前回と同じですね」 Q.“卒業証書”の提出は? 「記録の提出は拒否ということで回答が来ました。まだ…出頭に関しては何も書かれていませんでした。これは百条委員会、市議会を軽視、市民を軽視につながる。私たちは市民から、いつまでこんなことをしているんだと強く叱られている。辞職を求める署名も始められている。私たちもまた、百条委員会で告発という形を作って不信任決議案を出さざる得ないと思います」