欧州で中古ディーゼル車の需要増 価格10%アップも 新車の減少が一因に

上がるモデル、下がるモデル 欧州では近年、ディーゼルエンジン搭載車の新車販売は縮小傾向にあるが、大手自動車査定会社によると、英国では一部モデルの中古車価格が上昇しているという。 【画像】欧州ではディーゼルエンジン搭載モデルもあった!【2代目ホンダHR-Vを詳しく見る】 全19枚 英国における2025年上半期のディーゼル車の新車登録台数は5万8722台で、前年比11.3%減となった。この縮小傾向は、いわゆる「ディーゼルゲート」スキャンダルの影響や今後の税制・排出ガス規制への懸念から、2017年頃に始まった。 欧州で主流だったディーゼルエンジン車だが、現在ではかなり縮小している。 ディーゼルの時代は終わりに近づきつつあるようだ。英国でディーゼル車を販売している自動車メーカーは、アウディ、BMW、JLR(特にディフェンダー)などごくわずかであり、ガソリン車、ハイブリッド車、バッテリーEVなどの他のパワートレインが需要を伸ばしている。 こうした傾向は、ほとんどのディーゼル車で減価償却率の変化に反映されているが、1年前よりも価値が上昇したモデルもある。 例えば、Cap HPI社の調査によると、3年落ちのホンダHR-V(走行距離10万km)のディーゼル車は、昨年同月比で11.3%価格が上昇しているという。また、同様にメルセデス・ベンツCLSは8%、フォード・モンデオは6.5%の価値上昇が確認されている。 Cap HPIの予測戦略責任者であるディラン・セッターフィールド氏は、この変化について次のように説明している。「中古車市場では、消費者とディーラーの両方からディーゼル車への需要が依然としてあり、燃費の良さが長距離走行ドライバーにとって重要な要因となっています」 「(ディーゼルの)新車販売台数はここしばらく減少しており、これは中古車販売台数の減少にもつながっています。この減少は、消費者の需要減少によって部分的に相殺され、今後数年間はガソリン車と同様の価格動向となるでしょう」 しかし、市場では極端な価格変動も見られ、一部のモデルは予想以上の下落率で値下がりしている。 価格の下落が最も大きいのは、3年落ち、走行距離10万km前後のサンヨン・コランド2.2Dで、前年比で24.5%も低下している。同程度のヴォグゾール・アストラは20.2%、レンジローバー・イヴォークは12.7%下落している。 セッターフィールド氏は、「コランドの値下がりは、ブランドが従来の『サンヨン(双竜)』から『KGM』に移行したことに伴う市場の不透明感や混乱が原因と思われます。走行距離が平均以上のアストラのディーゼル車は、現在、値下がり幅が大きくなっています。一方、イヴォークの値下がりは、供給不足に伴う中古車の販売台数の増加によって説明できます」と述べている。 英国でディーゼル車の購入を迷っている消費者にとっては、このような極端な変動は不安を助長するだけだろう。 新しいディーゼル車は入ってこない? 幸い、これらの一部モデルを除けば、大部分はかなり安定しており、3年落ちディーゼル車の平均価格は1年前と比較して2.1%しか下落していない。ガソリン車の場合、1.3%の下落となっている。 1年落ちかつ走行距離が3万2000km程度の場合、その順位は逆転し、ディーゼル車は1.4%安く、ガソリン車は1.6%安くなっている。 英国での中古ディーゼル車の価格変動を表したグラフ。左の3台(緑色)は前年比で上昇が見られた。 AUTOCAR 車両オークションおよびリマーケティング会社Cox Automotive Internationalのインサイトディレクター、フィリップ・ノタード氏は、ディーゼル市場の大部分で安定が戻ったことを前向きに受け止めている。 ノタード氏は次のように述べた。「コロナ直後のピーク時、2〜4年落ちのディーゼル車でも新車価格の73%、1年未満の場合は98%の値がつくこともありましたが、市場に秩序が戻りつつあります。2023年には、ガソリン車へのシフトと税制変更の影響でEVシフトも一部進んだため、ディーゼル車の価値下落率はガソリン車よりも急激でした」 「この年のディーゼル車の新車販売台数が減少したことで、現在、3年落ちのディーゼル車は15万5000台しか走っていません。価格は下落しているものの、2〜4年落ちのディーゼル車は現在、新車価格の51%程度、ガソリン車は58%程度と、ほぼ堅調に推移しています。EVの場合は約36%です」 中古ディーゼル車の不足と価格の安定は、ディーラーの展示スペースにも反映されている。 大手自動車販売店のMotorpointは、通常5000台ほどのクルマを在庫しており、そのほとんどは登録から4年以内の中古車だ。現在、そのうちの約350台がディーゼル車とディーゼルハイブリッド車だ。具体的には、2023年式アウディA4 35 TDI SラインSトロニック(走行距離2万3000km、2万2699ポンド/約445万円)や、2022年式フォード・クーガ1.5エコブルーSTラインX(走行距離2万7000km、1万9999ポンド/約390万円)などがある。 MotorpointグループCEOのマーク・カーペンター氏は、ディーゼル車の需要は大幅に減少しているものの、新車の生産台数が減少しているため、中古車が顧客にとって入手しやすい唯一の選択肢になると指摘した。 しかし、将来的にディーゼル車の需要が再び増加しても、必ずしも価格が急騰するとは見ていない。 カーペンター氏は、「中古ディーゼル車の需要が上昇すれば、価格にもある程度影響が出るでしょう。しかし、新車の台数が減少しているため、中古ディーゼル車の在庫はどんどん古くなり、新車に近いクルマを求めるドライバーにとっては魅力が下がってしまうでしょう」と述べている。

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