常に眩しい存在。自動車画家Bowさんを偲ぶ【日本版編集長コラム#42】

喪服を着ないカジュアルな服装で 7月20日、マツダR&Dセンター横浜で『Thanks Bow。Party』が開催された。こちらは昨年11月17日に亡くなられた自動車画家、『Bow。』こと池田和弘さんを偲んで企画されたものだ。 【画像】自動車画家Bowさんを偲ぶ『Thanks Bow。Party』 全78枚 企画されたのは『by Bow。collection事務局』の水落正典さんで、水落さんはBowさんの遺志により原画などの管理を託されたそう。通販サイト『OPEN INC.』では現在もカレンダーや、没後に製作された絵本『不思議の国のロードスター』などを販売中だ。 『Thanks Bow。展』ではBowさんの仕事場を再現。 平井大介 なお本稿は筆者が在籍していたカー・マガジン編集部に従い、『Bow。』あるいは『Bowさん』と表記する。また、肩書はイラストレーターではなく『自動車画家』が正式で、ご本人は『絵描き』と仰ることもあった。また、イラストではなく『自動車絵』、『表紙絵』などと書くことが多い。 さて、この日はご本人の遺志に沿い、喪服を着ないカジュアルな服装での開催。関係者、友人だけでなくファンも参加できるオープンな形で、100名以上が集まることになった。 受付のあるホワイエでは、『Thanks Bow。展』と『2025ロードスター展』が開催されていた。Bowさんはマツダ・ロードスターの絵を長年描き続けていて、会場がマツダR&Dになったのもそういったご縁からだ。 展示のメインは赤いNA型ロードスターの実車と壁一面のサイズ絵が並んでいるところで、絵の下にはBowさんの仕事場が再現されていた。実際に絵を描いているところを人にほとんど見せなかったというBowさんだから、この再現は来場者を驚かせたようだ。 「この年まで絵描きでいられて幸せだった」 会場には思い出の品とともに、4台の愛車が展示されていた。 それはBowさんの代名詞といえる『トライアンフTR-3』はもちろん、『トライアンフTR-4』、『ロータス47GT』、さらに最近レストアされたバイク、『トライアンフT-100』だ。なおこれらは全て、Bowさんをよく知る方々が既に受け継いでいるとのこと。 Bowさんの愛車であった手前からトライアンフTR-3A、同TR-4、ロータス47GT。 平井大介 開会してまずは、奥様の池田晴美さんがご挨拶。生前Bowさんは「この年まで絵描きでいられて幸せだった」と語ったそうで、晴美さんも「いつも(読者などが)喜んでもらえる顔を想像して描いていました。今日も多くの方にお集まり頂き、喜んでいると思います」と感謝を述べた。 続いてはAUTOCAR JAPAN総編集長、笹本健次が弔辞を述べた。笹本は1983年に発売された『スクランブル・カー・マガジン38号』で、初めてBowさんの表紙絵を採用。依頼に押しかけた時、あるいは一緒にラグナセカを訪れた時などの話を述べ、最後、言葉を詰まらせる場面もあった。 ここでいったん歓談の時間となり、Bowさんが好きで打ち合わせの場所にもよく使われていたマクドナルドのハンバーガーなどを食べつつ、それぞれが思い出話に花を咲かせた。また、展示車両などが映された動画上映も行われた。 自動車趣味人の第一人者 その後は、友人や関係者の思い出話が始まった。AUTOCAR JAPANの関係者では、カー・マガジンで博士と助手の名物連載『クラシック探検隊』を長年担当していたモータージャーナリストの渡辺敏史さんが登壇。 他にも、絵を描いているところを撮影したことがあるというフォトグラファーの田中秀宣さん、取材だけでなくプライベートでも連絡をとりあっていたモータージャーナリストの吉田拓生さん、カー・マガジン編集長として退職後も亡くなる直前まで交流があった長尾循さんがコメント。合計10名がそれぞれの想いを語った。 記念品として頂いたランボルギーニ・イオタのスタンドなど。2026年のカレンダーは購入した。 平井大介 終了後はそれぞれが記念品を受け取り、流れ解散となった。記念品の中には自動車絵の木製スタンドもあり、好きなものを選ぶ形だったので筆者はランボルギーニ・イオタを頂いた。現在は仕事場のデスクから常に見える位置に飾っている。 編集担当として直接関わることはなかったが、実はネコ・パブリッシング入社前に単行本を購入したことがあり、打ち合わせや取材現場で数多くご一緒できたことがいい思い出となっている。「へえ、ヒライ君はスーパーカーが好きなんだねぇ」なんて言われたのが懐かしく、イオタを選んだのもそんな理由からだ。 Bowさんは自動車趣味人の第一人者として、常に眩しい存在でした。改めてご冥福をお祈りいたします。

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