ブガッティのW16エンジンの歴史に幕 最後のモデル「ブルイヤール」公開

オーダーメイドの特注車 ブガッティは、20年にわたるW16エンジンの歴史に、ついに幕を閉じることになった。その最後のモデルとなる、同社史上最も高価なハイパーカーが公開された。 【画像】ブガッティによる1台限りのオーダーメイド、ベース車とどこが違う?【ブルイヤールとミストラルを詳しく見る】 全48枚 既存のミストラルをベースに、オープントップから固定式のガラスルーフに交換した『ブルイヤール』(Brouillard:フランス語で「霧」の意味)は、ブガッティ独自のW16エンジン搭載車としては最後とされている。 ブガッティ・ブルイヤール ブガッティ 今後のすべてのモデルは、コスワース設計のV16エンジンを中核とする合計出力1800psのプラグインハイブリッド・パワートレインを採用したトゥールビヨンをベースに開発される。 新型ブルイヤールは、ブガッティが新たに設立したコーチビルディング部門ソリテール(Solitaire)による初のワンオフ車として、2027年に発注者に納車される予定だ。デザイン責任者のフランク・ヘイル氏によると、同部門は「完全なカスタムメイドの、幾何学的にユニークなクルマ」を生み出し、従来のパーソナライズ部門シュール・ムジュール(Sur Mesure)をはるかに超えたものになるという。 ソリテールは、同じように特注車や限定車を開発しているベントレーのマリナー部門や、ロールス・ロイスのビスポーク部門に近いものといえるだろう。 従来のシュール・ムジュールの人気は非常に高く、「何らかの形でカスタマイズされていない新車はほとんどない」とヘイル氏は述べ、一部の富裕層な顧客からはさらに個性を追求する「大きな需要」があるとした。ブルイヤールは、そうした需要に応えるソリテール部門の姿勢を体現したものだ。 ヘイル氏は「ブルイヤールには、ミストラルと同じパネルは1つも使われていません」と述べ、注文に対する白紙からの設計アプローチにより、顧客の要望に「非常に具体的に応えることができる」と付け加えた。 奇抜なオーダーにも対応 ブルイヤールは、ミストラルと同じ最高出力1600psのクアッドターボW16エンジンと基本的なホワイトボディを引き継いでいるが、匿名の発注者の好みに合わせて大幅に変更された。同社創業者で熱心な馬術家だったエットーレ・ブガッティ氏の愛馬『ブルイヤール』からインスピレーションを得たという。 馬の筋肉質なフォルムは、ハイパーカーの滑らかに流れるようなシルエットに反映されており、ヘイル氏は「硬いラインはなく、柔らかい形状と膨らんだ筋肉で定義される」と説明している。ミストラル特有のバイザー型ガラスハウスと基本的なフロントライトデザインは維持しつつも、よりミニマリストな表面処理と流線型のリアエンドを採用し、新設計のベンチュリースタイルの固定式ダックテールウィングで結びとしている。視覚的にはベース車との明確な差別化が図られている。 ブガッティ・ブルイヤール ブガッティ オープンルーフから固定ルーフに変更されたのも、独自性を追求するためだ。ヘイル氏は「これは1台限りのモデルなので、クーペにするのは非常に特別なことです。99台のミストラルはすべてロードスターでした。クーペもあってしかるべきでしょう」と語った。 2025年に誕生20周年を迎える、W16エンジンを初めて採用したヴェイロンへのオマージュも随所に散りばめられている。その例として、2基のルーフスクープや、顕著なキャブフォワード形状などが挙げられる。「このクルマの主な特徴は、前方に飛び出しながら後方に傾いているところです。ヴェイロンの斬新さを思い出させます」とヘイル氏は言う。 カラーリングも独特なもので、グリーンにグリーンを重ねたサテン塗装と、それに合わせた色合いのカーボンファイバーを採用している。 馬をモチーフにしたタータンチェック柄など、インテリアも色調が統一されている。 ソリテール部門は、このような大胆かつ奇抜なオーダーにも応えることができる。しかし、ヘイル氏は、顧客からどのような要求を受けた場合でも、最終的な製品はブガッティとして認識できるものでなければならない、と力を込める。「ブランドのDNAとなっている、馬蹄形のグリル、サイドのブガッティライン、垂直のセンターラインなど、当社のトレードマークである特徴を必ず残さなければなりません」 「カスタムメイドの1台限りのモデルであれば、通常の範囲から外れることも可能です。デザイナーにはある程度の自由が与えられますが、当社のDNA要素を再解釈することで、ブガッティらしく仕上げるのです」 価格はブガッティ史上最高額? ヘイル氏によると、ブルイヤールの完成には約1年半の歳月を要したそうだ。ソリテール部門は6か月ごとに新しい特注車を1台製作できる能力があるため、2台目と3台目の製作もすでに始まっている。顧客のプライバシーを保護するため、今後のモデルは公表されない可能性もあるが、ブルイヤールは今年8月に開催されるペブルビーチ・コンクール・デレガンスで、ソリテール部門初のワンオフ車としてデビューする予定だ。 ブルイヤールは、そのベースとなったミストラルの500万ポンド(約10億円)をはるかに上回る価格となる。これは、量産車と同じボリュームの設計および認証作業が必要だからだ。 ブガッティ・ブルイヤール ブガッティ ヘイル氏は、「10台でも100台でも、1台でも、投資額はほぼ同じです。設計、金型作成、テストなどが必要で、投資額は膨大なものになります。その投資を回収するクルマが1台しかない場合、価格は必然的に高くなります」と述べた。 つまり、ブルイヤールは1130万ポンド(約22億円)のラ・ヴォワチュール・ノワールを凌ぎ、ブガッティ史上最も高価なモデルとなる可能性が高い。確認を求めたところ、ヘイル氏は「あり得ます」と答えた。 Q&A:ブガッティ・リマック・デザインディレクター、フランク・ヘイル氏 ーーソリテール部門はどこまで発展しますか? 「同部門は、既存のプラットフォームをベースに、形状的に異なる1台限りの車両を製作する機会をお客様に提供するものです。これは価値のあることです。唯一無二のクルマには比較の対象がありません。エットーレ・ブガッティの価値観である、『比較できるものがあれば、それはもはやブガッティではない』にも通じます。ソリテールは比較の対象がないため、当社の事業領域にぴったりです」(フランク・ヘイル氏、以下同じ) ブガッティ・ブルイヤール ブガッティ ーー量産車の価値低下をどのように回避しますか? 「需要と供給のバランスが重要です。トゥールビヨンは数週間で完売しました。250台です。もっと売れたかもしれませんが、あえてそうしませんでした。今回も同じです。3台作ることもできたかもしれませんが、これは1台限りとしたのです。なぜなら、1台限りのものは、最も高い価値を生み出すからです」 ーー顧客がSUVを希望した場合はどうしますか? 「そのお客様が、本当に適切なお客様かどうかを自問するでしょう。なぜなら、当社は全高1.1m、2シーター、リアミドシップエンジンのクルマを作っているからです。どんなSUVともかけ離れた存在です」

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