夏の甲子園に出場中の広島の広陵高校が、10日、出場を辞退することを発表しました。部内の暴行問題を受けて爆破予告や誹謗中傷など「生徒に被害が及んでいる」と説明しました。【バンキシャ!】 10日午後。兵庫県内で会見を行った広陵高校の堀校長。 広陵高校 堀正和校長 「昨日、広陵高等学校の母体であります、学校法人広陵学園の理事会を臨時に開催し、第107回全国高等学校野球選手権大会において、広陵高等学校の2回戦以降の出場を辞退することを決定いたしました」 「本校公式野球部をめぐっては、過去に日本高等学校野球連盟に報告した部員間の暴力に伴う不適切な行為だけでなく、監督やコーチから暴力や暴言を受けたとする複数の情報がSNSなどで取り上げられています」 「こうした事態を重く受け止め、今大会への出場を辞退した上で、速やかに指導体制の抜本的な見直しを図ることにしました」 広陵高校をめぐっては2025年1月下旬、寮内で違反行為があった当時1年生の野球部員に対し、2年生部員4人がほおをたたくなどの暴行をくわえたという。 学校は翌日に事案を把握し、広島県高野連を通じて日本高野連へ報告。 3月上旬には、日本高野連から厳重注意処分を受け、対象の部員を1か月の公式戦出場停止処分に。しかし、チームとして夏の甲子園への出場については、主催者から「大会出場の判断に変更はない」として出場を認められていた。 広陵高校は春のセンバツ高校野球で3回の優勝をするなどの強豪校だ。 2025年の夏の全国高校野球には、3年連続26回目の出場を決め、迎えた8月7日、1回戦で旭川志峯高校と対戦した。先制されるもすぐさま同点に追いつき、6回には勝ち越し。2点リードのまま、最後はエースが空振り三振におさえて3対1で勝利。史上6校目の春夏通算80勝を達成した。 勝利からわずか3日。2回戦への出場を辞退することを10日、発表した。 夏の全国高校野球で不祥事によって大会中に辞退したのは、今回が初めてという異例の事態。辞退の理由は… 広陵高校 堀正和校長 「SNSでの大きな反響、さらには今の結果の出ていない件について、いろんな誹謗中傷がでてまいりました」 「同時に、本校も一生懸命甲子園を目指して頑張ってきた学校でありながらも、高校野球の名誉、信頼を大きくなくすことになる」 特に広陵高校の生徒にも被害が及んでいると説明。 広陵高校 堀正和校長 「本校にいる生徒が登下校で誹謗中傷をうけたり、追いかけられたり、寮で爆破予告があったり、そういったようなこともSNS上で騒がれています」 「校長として生徒、教職員、地域の方々の人命を守ることは最優先することを踏まえ、先に述べたこととあわせて、辞退に踏み切ることを決意しました」 SNSで行われている生徒への誹謗中傷に対し、文科省は警鐘をならした。 阿部俊子文部科学相 「匿名性が高いSNS等におきましては発言がエスカレートしていきまして、ややもすると誹謗中傷として、新たな人権侵害を生むことにつながってまいりますので、冷静な対応をお願いしたいというふうに思っております」 広陵高校の辞退を受け、今後の試合について、14日に行われる予定だった三重県津田学園との2回戦については、津田学園が不戦勝で次に駒を進めることになった。 渦中の野球部員たちへ辞退の事実をどう伝えるのか。 広陵高校 堀正和校長 「昨日の夜、理事会を終えて、その決意を宿舎にいる野球部長に連絡を入れました。そして、選手は失意のどん底だったと思います」 「子どもたちも本当に心を立て直すことはまだ厳しい状況ですが、落ち着いて今朝を迎え、9時半頃だと思います。宿舎を出発して、バスで広島の方に今向かっております」 学校へ到着後、学校側から直接話をするという。 広陵高校 堀正和校長 「いかなる暴力も認めないことを掲げてまいりましたが、今回の事態を招いたことは誠に遺憾であり、忸怩たる思いです」 (8月10日放送「真相報道バンキシャ!」より)