【アルファードが小さく見える】1000万円近い価格は安すぎ?フォルクスワーゲンID.バズがワーゲンバスと異なること

モデル概要をおさらい フォルクスワーゲンのフル電動ミニバン『ID.バズ』が6月から日本でも発売開始となった。同社が『モジュラー・エレクトリック・ドライブ・マトリクス』、通称『MEB』と呼ぶEV専用プラットフォームを使用するBEVだ。 【画像】アルファードが小さく見える!フォルクスワーゲンID.バズのロングホイールベース仕様と文中に登場した関連モデル 全94枚 今回取材した車両を紹介する前に、モデル概要をおさらいしておきたい。 今回取材したのはフォルクスワーゲンID.バズのロングホイールベース仕様。 平井大介 その起源は2017年1月のデトロイト・ショーにて発表された同じ車名を持つコンセプトモデルで、市販版は2022年3月に初公開。3列6人乗りの『ID.バズ』と、1列ふたり乗りで後ろが全て荷室となる『ID.バズ・カーゴ』が同時発表されている。 2023年6月には北米市場にも投入され、3列7人乗りのロングホイールベース仕様も追加。昨年3月には4WD(4モーション)の『ID.バズGTX』も登場している。GTXはエンジンモデルでGTIにあたるハイスペックモデルだ。 日本に導入されたのは『プロ』と呼ばれる標準モデル(以下NWB)と、そのロングホイールベースモデル(以下LWB)。ボディサイズはNWBが全長4715mm、全幅1985mm、全高1925mm、ホイールベース2990mm、車両重量2550kgで、LWBは全幅と全高は同様で、全長4965mm、ホイールベース3440mm、車両重量2720kgとなる。 NWBは2+2+2の6人乗り、LWBは2+3+2の7人乗りで、バッテリーはNWBに84kW、LWBが91kWを搭載。150kWの急速充電器にも対応し、WLTCモードの航続距離はNWBが524km、LWBが554kmだ。 いずれも最高出力286ps/最大トルク560Nmのモーターがリアに搭載され、リアを駆動するRR方式のレイアウトを採用。価格はNWBが888万9000円、LWBが997万9000円となる。 約6割が新規オーナー 今回お借りしたのは、『キャンディホワイト/スターライトブルーメタリック』のLWBで、パノラマガラスルーフとハーマンカードンのプレミアムサウンドシステムがセットになったオプションの『ラグジュアリーパッケージ』が装着されている。 標準はホワイト、シルバー、ブラックの3色で、イエロー、グリーン、ブルーの3色がホワイトとの2トーンでオプション扱いとなる。ちなみにID.バズは約6割が新規オーナーで、このブルーが一番の人気色とのこと。 ナンバープレートの小ささを見ると、ボディの巨大さが伝わるかもしれない。 平井大介 さて、実車はかなりの大きさだ。ナンバープレートの大きさからその巨大さが伝わるだろうか。走っていると、周囲のトヨタ・アルファードやヴェルファイアが小さく見えるほど。発売時はアル/ヴェルがライバルになりそうという分析もあったが、明らかにクラスはID.バズが上の印象だ。 そう考えると、国内ではメルセデス・ベンツVクラスくらいしか競合車種が見つからない。確かにVクラスは全長4895mm、全幅1930mm、全高1880mmとだいぶ近いが、こちらは全てディーゼルエンジン。BEVのID.バズとは比較対象になりにくい。 ということで往年の『タイプ2』、いわゆる『ワーゲンバス』をオマージュしたスタイリングも含めて、ID.バズはまさに唯一無二の存在となるわけだ。 終始BEVらしいドライブ感覚 実際に動かしてみると、インターフェイスは基本的に他のフォルクスワーゲンと同じなので、サイズ以外は戸惑うことがない。起動ボタンがなく、鍵が室内にある状態でシートに座ってブレーキを踏むとシステムが起動する……という流れは、実に今どきのEVである。 最初に驚いたのは、ナビゲーションが装備されないこと。この価格のクルマで? と一瞬思ってしまったが、iPhoneを繋ぎアップル・カープレイを起動。その日の目的地を目指すこととした。 インターフェイスは基本的に他のフォルクスワーゲンと同じだが、ナビが装備されていない。 平井大介 ドライブしている印象は、『終始BEVらしい』と書くのが自分の感覚に近い。バッテリーが床下にあるので重心が低く、ホイールベースが長いこともあり、高速道路での安定性はかなり高いものだ。 しかもこのボディサイズなので重い動きを想像していたが、パワフルにしっかりと走ってくれる。ドライブモードはエコ、コンフォート、スポーツ、カスタムとあるが、スポーツは必要ないと思うほど、コンフォートでも十分な走りだった。 今回は300kmほどを走行し、そこで感じたのはBEVかどうかは関係なく『とにかくこのクルマ楽しそう!』という雰囲気。デザインや色の使い方が秀逸すぎて、自然とどこかへ遊びに行きたくなるのだ。 デザインは似ていても、精神的にはかなり異なる そこで気になったのは価格。フォルクスワーゲン・タイプ1(=ビートル)をベースとしたファミリー向けのタイプ2とは明らかに立ち位置が異なり、今回も移動の先々で注目を浴びるも、1000万円近い価格を伝えると意気消沈する方々が多かった。 もちろん額面だけ見ても、そしてフォルクスワーゲンのブランド的にもこの価格はかなり高いものだ。しかし、個人的には逆に安すぎると思っている。こういった『遊び車』を所有できる層は、これをファーストカーとしてではなく何台か所有するうちの1台として選ぶ可能性が高い。であれば、もっとラグジュアリー(=高価)でもいいのではないだろうか。 フォルクスワーゲン・タイプ1(=ビートル)をベースとしたタイプ2とは立ち位置が異なる。 平井大介 だからこれを『ワーゲンバスの再来』と呼ぶことに、個人的には違和感を覚えている。ゴルフやパサートをベースに作るならばまだしも、デザインは似ていても精神的にはかなり異なるからだ。 また、長距離を乗ること考えると航続距離約500kmは若干心もとないが、そういった実用性を求めるならVクラスや国産ミニバンという選択肢がある。 そこはフォルクスワーゲンもわかっていて、日本には導入されていないが、本国には『トランスポーター』という、『フォード・トランジット・カスタム』とプラットフォームを共有する7世代目(T7)の定番ミニバンがあり、ID.バズとははっきりと棲み分けされている。 つまり『フォルクスワーゲンID.バズ』という唯一無二の選択肢は、充電環境を含めたライフスタイルに合致する人生に余裕のあるオーナーが、最高の遊び車としてガレージに迎え入れる1台と言えそう。個人的には、返却直前にラジオから心地よいサマーミュージックが流れてきた時、「海へ引き返したい……」と思えたのが何より、このクルマのキャラクターを表しているように感じた。

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