「ヒットチャート」算出方法を知ってる?様々なものが登場、「流行」の本質が浮かび上がってくる

 「全米ヒットチャート」といった言葉でもおなじみの音楽チャートとは、曲やアルバムにまつわる多様なデータを集計し、ランキング形式で示したものだ。  音楽配信の普及によりチャートも様々なものが登場し、戦国時代の様相を呈してきた。これらのチャートの算出方法を知ることで、令和の音楽の「流行」の本質が浮かび上がってくる。 オリコン 推定売上枚数から算出  日本の音楽チャートを長年にわたって先導しているのが、1968年に独自の集計を始めたオリコン社だ。現在も毎週、CDのシングルやアルバム、インターネット上で音楽を流すストリーミングなどでそれぞれのランキングを発表し、それらを組み合わせてチャートが作られる。全国のCDショップなど約1万7300店の調査協力店を持ち、協力店から送られる販売実績を基にして推定売上枚数を算出している。「推定」とは言いながら、販売網をほぼ100%網羅できていることがデータの信頼につながっている。  聴かれ方の多様化に伴い、同社が2018年から始めたのが、CDの推定売上枚数、ダウンロード(DL)数、ストリーミング再生数を合算したチャート「オリコン合算ランキング」だ。  例えば、CDシングルの売り上げ1枚を「1ポイント」として、ストリーミングの300回再生、2・5DLも1ポイントとして換算し、合算している。リスナーが支払った金額を基準にした算出方法で、オリコン・リサーチ株式会社マーケティング本部の小島敦史本部長は「対価を払って商品を購入する消費行動を重視して、数値化、可視化しているという考え方」と言う。 ビルボード 新陳代謝促すルール設計  一方、近年影響力を高めているのが、米ビルボードチャートの日本版「Billboard JAPAN Hot 100」だ。CDのほか、ストリーミングや動画サイトの再生回数、カラオケで歌われた回数など、多様な指標も加味したチャートで、市場バランスを考慮した独自の係数を採用している。日本版チャートの設計に携わった、ビルボードジャパンのディレクターを務める礒崎誠二氏は「CDの枚数やストリーミングの再生回数といった直接聴く機会のほか、動画の再生数などは、購入行動につながる確率を算定して加味している」と説明する。  算出方法は固定化せず、ルールや係数はたびたび変更している。過去の記録と単純比較できなくなるデメリットもあるが、時代に合わせて流行の形をより鮮明に捉えようとする姿勢の表れと言える。直近では、チャートの新陳代謝を促すため、52週(約1年)ランクインした曲はポイントを減算するルールに変えた。礒崎氏は「日本でチャートを始めた時も、シングルとラジオの割合をアメリカのチャートと変えた。市場バランスを見て更新していく」と話す。 「シェア」も対象に  ほかにも、各ストリーミング事業者は再生回数に基づいたチャートを毎日のように発表。Spotify(スポティファイ)は、直近の再生数の急上昇やSNSでシェアされた回数などをもとに、最も話題となっている楽曲を「バイラル(流行)チャート」として公表している。  時代ごとに変遷を続ける流行を、チャートはどう追い続けていくのか。オリコンの小島本部長は「ひとつの指標で流行を測るのは難しくなっている。多様な方向から流行の潮流をつかみたい」、ビルボードの礒崎氏は「ヒットしている曲には理由がある。現状を示すことで、ユーザーの好奇心を刺激するのがチャートの役割だ」とそれぞれ見解を述べた。各チャートの結果の違いから見えてくる「いま」も、あるかもしれない。

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