突然、モバイルバッテリーが発火する事故が相次ぐ中、この危険な状況をどう防げばいいのでしょうか。国は新たなルールをつくることになりました。 【写真を見る】突然発火するモバイルバッテリー 夏場は特に注意を…リチウムイオン電池の火事防ぐため 国が「加熱式たばこ」「携帯電話」などの回収義務付けへ 車内に置いてあったモバイルバッテリーが突然、爆発する様子を捉えた映像。工業製品などの安全性を調べるNITE(ナイト)の調査によると、リチウムイオン電池を使った製品の事故は気温が上がる夏場に多く、月別にみると8月が最多です。 特に炎天下に停めた車の中は温度が60℃にまで上昇。モバイルバッテリーは3時間ほどで膨れ上がり、次の瞬間、高温で異常反応を起こし、発熱・破裂・発火のおそれが。 (NITE 宮川七重 課長) 「暑い所に放置しない、直射日光が当たる所に放置しない、安全に使っていただければ」 ことし1月、韓国・プサン近くのキメ空港では離陸準備をしていた旅客機から激しい炎が吹き上がりました。この原因はモバイルバッテリー。この事故を受け、機内持ち込みのルールが厳しくなりました。 東海地方でも発火事故が相次いで… 交通機関での火災は東海地方でも。先月10日、名古屋の地下鉄鶴舞線・塩釜口駅のホームで、大学生のリュックに入っていたスマートフォン用のモバイルバッテリーから突然、煙が出ました。 (モバイルバッテリーを持っていた大学生) 「ベンチに座っていて横にバッグを置いていたが、急に音と同時に爆発して、気付いたら火も上がっていた。(モバイルバッテリーは)リュックサックの外側に入れていた。まさか自分のモバイルバッテリーが爆発するとは思っていなかったので、びっくり」 一方「使い終わったモバイルバッテリー」の問題も。 (NITE 宮川七重 課長) 「リチウムイオン電池を一般ごみとして廃棄してしまって、火災になった事故が報道されている」 リチウムイオン電池を一般ごみとして捨てると、ごみ収集車から出火し処理場でも火災事故が多発しているのです。 ごみ処理が約2か月間ストップした施設も ことし4月に愛知県大口町の、ごみ処理施設で火災が発生。ごみを細かく砕く工程で、混ざっていたリチウムイオン電池から火が出たとみられています。この火災で約2か月間、廃プラスチックごみなどの処理がストップ。復旧には約4000万円の費用がかかりました。 名古屋市でも他のごみに混じったモバイルバッテリーが原因の火災が相次いでいました。 (名古屋市環境局作業課 富樫穣 課長補佐) 「(Q:結構膨れ上がっている状態だが?)熱を帯びて膨らんでいるが、こういうものもある」 リチウムイオン電池は圧力や衝撃が加わると火が出る恐れがあります。モバイルバッテリーは「不燃ごみ」などとして出してはいけないのです。 (名古屋市環境局作業課 富樫穣 課長補佐) 「(モバイルバッテリーなどが)不燃ごみや可燃ごみに混ざると、袋の中に色々なものが入っているので一目で見分けづらい。火災が起きてから(混入が)分かるというのが大部分かと思う」 製造メーカーや輸入業者に回収を義務付けへ そこで、名古屋市ではリチウムイオン電池などが他のごみと混在するのを防ぐため、3年前から「電池類」として別に収集しています。こうした効果もあって北名古屋工場では、以前は年間45件発生していたモバイルバッテリーが原因の火災は去年2件にまで減りました。 (名古屋市環境局作業課 富樫穣 課長補佐) 「(Q:膨れ上がっていてもゴミに出していい?)こういったものも(電池類として)収集している」 そして国もリチウムイオン電池による火事を防ぐため、新しいルールをつくることに。リチウムイオン電池を内蔵したモバイルバッテリー・携帯電話・加熱式たばこ機器の3品目について今後、製造メーカーや輸入業者に使用済み製品の回収を義務付ける方針を決めたのです。 (名古屋市環境局作業課 富樫穣 課長補佐) 「自治体としても現在の電池類の一括収集とか取り組みを継続していきたい。こういう時期なので熱を帯びて破裂することもあると思うので(異変を感じたら)速やかに電池類として捨てた方が良いかと思う」 ハンディファンなどは現時点では義務化の品目に含まれていませんが、経済産業省は「ハンディファンなどについても、発火事故などの調査を踏まえつつ、回収の義務化を検討する」としています。