1か月記念のデートで相手は“豹変” 女子高校生は教室や公園でも性被害に 3年の月日が経ち“いじめ重大事態”に認定されるも…「社会に絶望しました」

「交際1か月記念のデート」で、当時交際していた男子生徒から、学校の教室や近所の公園など、様々な場所で性被害を受けた女性は、高校3年生から大学3年生となり、もう就職活動が目の前に迫ってきていた。 【写真を見る】1か月記念のデートで相手は“豹変” 女子高校生は教室や公園でも性被害に 3年の月日が経ち“いじめ重大事態”に認定されるも…「社会に絶望しました」 三重県四日市市にある私立暁学園暁高校で2022年、当時3年だった女子生徒が交際していた男子生徒から受けたとされる性被害について、学校が設置した第三者委員会が「女性は心理的苦痛を感じていた」として、いじめ重大事態に認定したことが関係者への取材で分かった。 焦点は「交際関係にあったカップルの性行為が、いじめに該当するのかの判断」だ。 大学教授や弁護士ら4人で構成された第三者委員会が今年6月にまとめた31ページにわたる報告書によると、性行為は通常望まない人の出入りがある場所で行われ、被害女性の心理的負担になったと認定した。 女子高校生への支配は教室や通学路でも… 確かに、性行為は学校内の教室、通学路、公園、グラウンド、公衆トイレなどで繰り返され、それは約4か月間で20回以上にも上った。別れたいと告げると謝り「別れるのなら死ぬぞ」と逆に脅してくる。 その後、女性は欠席や早退を繰り返し、PTSD・心的外傷後ストレス障害と診断されたのだが、第三者委員会は、その原因は男子生徒によるいじめだと結論づけたのだ。 また、暁高校は、被害直後の2022年11月には事案を把握していたが、三重県から「いじめとして調査すべき」との再三の助言があったにも関わらず、十分な対応をとらなかった。学校は事の重大さ、深刻さを認識していなかったといわざるを得ない。 「ホッとした」と話す一方で… 両親は当初から「相手は同級生で、学校内で起きていること。いじめ重大事態として扱って欲しい」と学校へ働きかけたが「生徒間のトラブルではなく、男女間のトラブル」と、学校ではなく警察が主体的に調査すべきではないかと回答していた。第三者委員会は、これを「いじめに対する認識の欠如が原因」だと断じた。 3年にわたり、学校に第三者委員会の設置を求めてきた母親は「これまでの学校や第三者委員会の対応から認定はしないつもりだろうと思っていたので、ホッとした」と話す一方、調査を尽くしているとはいえないとして、報告書の内容には到底納得できないと不満を口にした。 「明らかに事実や評価に誤りがある」として第三者委員会へ訂正を求める考えだ。 立ちはだかる“法律の壁” 当初から被害者家族を支援してきた一般社団法人「ヒューマンラブエイド」の仲野繁共同代表は、私の取材に「交際中でも被害者がどう思うかが極めて重要で、望まない性行為はいじめの重大事態に当たると明確に示された」と話したうえで、「同じような学校内での被害者に希望を与える内容で、教育界において前進」と評価した。 こうした性被害は、結婚していれば、DV防止法の適用となるが、交際している場合は適用されない。また、この事案は2022年の出来事で、翌年に新設された不同意性行等罪に該当せず、警察にも取り合ってもらえなかった。立ちはだかる法律の壁、それでも学校側へ粘り強く訴えた被害女性と両親。 私は、その経緯を取材してきたが、幾度にもわたる学校との折衝は壮絶そのもので、母親も心を患ってしまうのでないかと心配になるほどだった。 普通なら折れそうになる心を奮い立たせてきたのは、今なお苦しむ娘を救いたい思いと、もっと違った青春時代を送ることができたはずの娘の未来を奪われたことへの怒りだったのかもしれない。 「社会に絶望しました。誰のことも信用できません」 母親が被害者の娘に、この報告書の内容の一部を伝えると一言呟いた。 「えっ?認定したんや」 悲しいような、怒っているような、呆れているような表情をして、その場を離れたと母親は語っていた。 被害女性本人が第三者委員会に宛てた手紙には、こう記されている。 「私は公の機関なら当然助けてくれるだろうと思っていましたが、これが大人のすることなのか…と社会に絶望しました。誰のことも信用できません。こんな大人にはなりたくないと強く思います」 今もPTSDの症状に苦しみながら、時折涙が自然と溢れ、「いなくなりたい」と思ってしまうこともあるという。 信頼していた先生ら学校も、そして警察も。手を伸ばしても誰も握り返してくれなかった社会への絶望感はいかばかりだったか。救いを求める生徒に寄り添い、助けるのが学校であり、警察ではないのか。  いじめ重大事態と認定されても、被害女性の時計の針を戻すことはできない。でもこの一歩で、彼女に少しでも光が差すことを願わずにはいられない。 【CBCテレビ論説室長 大石邦彦】

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