健康は「足の裏」にかかっている…はだしで地面と触れ合わない人に懸念される「意外なリスク」

氷点下の湖で15分間泳ぎ続けられる男がいる。オランダ生まれのヴィム・ホフ。普通なら凍死してしまう環境で、彼は体温を37度に保ち続ける。 彼の驚異的な能力を支えるのは「コールド・トレーニング」--意図的に身体を低温にさらす鍛錬法と「呼吸エクササイズ」だ。彼のメソッドを実践した人々に、予想外の変化が次々と起こっている。 経営者やアスリート、セレブリティー、病に伏せる人々まで虜にした驚愕のメソッドを詰め込んだ『氷超人』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。 大地に「接地すること」には、多大なメリットがあった 本書を執筆するためにおこなったインタビューでは「コールド・トレーニング」や「呼吸エクササイズ」を実践している人々が、ほかにも人生を変えるような効用を見出していた。 よく眠れるようになり、前よりもよく歩きスポーツをするようになり、もっと日光を好むようになったという。これらの変化のすべてを検証したわけではないが、特によく耳にしたのが、はだしで歩くようになったことと食べる量が減ったことだった。 ヴィム・ホフ・メソッドを実践している人の驚くほど多くが、はだしで歩くようになる。10人にインタビューし、8人がはだしで歩くようになっていた。これは偶然ではありえない確率だ。ヴィムは特にそれを重視していないが、彼自身もよくはだしで歩いている。 多くの人がはだしで歩くことを健康的だと考える。そのつもりで探し始めると、はだしのランナーを見かけるし、はだしをテーマにした記事はしばしば新聞や雑誌を賑わす。これらの記事のおもなメッセージは、はだしで歩くと靴を履いているときにはほとんど使わない筋肉が鍛えられ、骨重量が増すというものだ。 足には20万という膨大な数の神経終末がある。そのため、はだしで歩くと刺激を感じやすい。足を軽く地面に着けると、とても心地よく感じられる。人によってはマッサージを受けているように感じるようだ。また、はだしになると靴を履いているときと歩き方が変わって、足の前部にもっと体重をかけるようになる。 ステファン・ロビンスとアデル・ハンナによる1987年のジョギング愛好家17人についての研究では、4か月間靴を履かずに過ごすと、足の縦のアーチが約4.7ミリメートル短くなったという。 ロビンスとハンナは、この変化が足の筋肉の動きが増えたから起きたに違いないこと、そして足の裏にある足底筋膜の緊張を減らしたり防いだりするのに役立っているかもしれないことを主張した。この研究は、はだし走行への移行が少しずつおこなわれたため、うまくいった。もっと急激に変化させた研究では、足のケガの危険が高まったという報告がある。 はだし歩行の支持者たちは接地すること、すなわち地球を囲む「電場」に接触することが健康に好影響を与えると強調する。地球はマイナスの電荷を帯びている一方で、空気はプラスイオンで満ちている。プラスイオンの量は近年、ラジオやテレビ、携帯電話その他の無線通信機器の広がりにより激増した。プラスイオンが多すぎると、適正だったプラスとマイナスのバランスが乱れてしまう。 「現代のライフスタイルのために、私たちは地球から隔絶されています──これは健康的な状況ではありません」と電気技術者のクリントン・オベルは話す。彼は「接地すること」、すなわち地球表面のマイナス電子に触れることで健康によい影響があると言う。 では地面に触れさえすれば、過剰なプラス電子を中和できるのだろうか。これは難しい問題だ。接触は厚い靴底に邪魔される。ゴム底が私たちを放電から絶縁するのだ。はだしで歩けば地面に直接触れるため、より多くのエネルギーを得られる。 あるインタビュー対象者は、リチャード・デ=レスよりもはだしで歩くようになったと話した。デ=レスはアムステルダム自由大学で医学を学び、西洋と東洋の医学を実践に応用している。彼のヒット作『オールステーク(Oersterk)』は、より健康的な食べ物を口にすることを勧めている。よく語られるテーマのひとつは、糖分を減らすことだ。1948年にノーベル文学賞をとったT・S・エリオットの言葉からデ=レスのお気に入りの引用を紹介しよう。 知識のなかに失った知性はどこにある? 情報のなかに失った知識はどこにある? 知性の追求のなかで、デ=レスはヴィム・ホフに出会った。2013年に彼はヴィムのワークショップに参加した。「呼吸エクササイズ」を実践し、氷風呂に入った。彼は、その日の体験がほかにないものだったと記している。ほんの数回のエクササイズをしただけで息を2分半も止められるようになり、息をせずに60回も連続で腕立て伏せができたそうだ。氷風呂も気持ちよかった。身体はすぐに赤くなり、血行の改善を示した。 ワークショップの数か月後に、私たちはデ=レスに、教わったメソッドを継続しているか尋ねた。彼は「呼吸エクササイズ」を続けており、はだしで外に出られるようになったので、雪が降るのを心待ちにしていると答えた。彼にとっての大きな変化は、屋内でも戸外でもはだしで歩くようになり、それが気持ちいいという点だ。 ヴィム・ホフ・メソッドを始めた人の多くが食習慣を変える。ヴィムはほとんどものを食べない──朝食はめったにとらないし昼食は食べない。夕方にだけ食べるが、食べたいものを食べたいと感じた量だけだ。 ジャック・エグバートはヴィムの食習慣を学んだ最初のひとりだった。ジャックは「コールド・トレーニング」の章で触れたレーワルデンの弁護士だ。彼の食習慣がどう変化したかの詳細をここで紹介する。実践すること自体はシンプルだが、人類の繁栄に由来する多くの病気を寄せつけない効果がある。 何を食べるかだけでなく何度食べるかも大切 エグバートの見つけた食哲学「断食5食事法」はヴィムの食べ方にとてもよく似ている。念のため言っておくが、ヴィムはこのような食べ方を人々に積極的に勧めているわけではない。本能的にこのように食べているだけだ。 ヴィムとジャック・エグバートの食べ方を要約するとこうなる。 「断食5食事法」は、元軍医のバート・ヘリングによって(再)発見された。医師としてヘリングは、40歳以上になると誰もが太りすぎるという生理学的な理由がないことは知っていた。だが鏡のなかにいるのは、たっぷりとした二重あごにだぶだぶの胸や腹の男だった。 彼は余計についてしまった肉の重みを何とかしたいと考え、ジムに直行する代わりに、まず図書館に向かった。彼は太りすぎという「病気」とその原因についてさらに学び、持っていた古い教科書を再読した。そして何を食べるかだけでなく、何度食べるかも大切だということを発見した。 大型哺乳動物は1日に1回しか食べないことが多い。太りすぎはめったになく、心疾患や肥満、がんなどを患うこともほとんどない。人間も大型哺乳動物なので、へリングは人間も一日中食べるようにはできていないのではないかと直感した。彼は妻のジュディ──やはり医師で、太りすぎていた──にそう話し、いっしょに自らの身体での実験を試みた。 1か月間、彼らは食べたいものを食べたいだけ、ただし午後5時から夜10時のあいだだけ食べることにした。その結果はすばらしいものだった。へリングは、これまで解剖学の知識上そこに「ある」と知っていただけの部位に筋肉が見えるようになった。それくらい体脂肪がごっそりと落ちた。 何キログラムも体重を落とし、血圧が下がって歯ぐきの腫はれもひいた。ずっとエネルギーにあふれているように感じ「走りたい」と思うようにさえなった。以前なら頭の片隅にも浮かばなかったことだ。同じことが妻にも起こった。彼女も、あまりの効果に喜びの目をみはった。興味を抱いた友人たちもこの新しい食習慣を取り入れ、みな成果を出した。 ブドウ糖ではなく脂肪を燃料として へリングはこの1日5時間だけ食べる方法を「断食5食事法」と名づけた。彼はこの食事法を紹介する電子書籍を書き、インターネットから無料で入手できるようにした。この元軍医は「こんなに単純な生理学的真実からお金を稼ぎたくない」と言う。彼は、自分の食事法の基礎はビールのコースターの裏に書けるようなものだと話した──「1日に5時間だけ食べよう」。 彼は著作で、この実践によってあなたの身体が、おもにブドウ糖ではなく脂肪を燃料として使うように鍛えられると説明している。この考え方は「コールド・トレーニング」で起きる褐色脂肪が増える現象にも結びつく。 最初は誰でも空腹を感じるだろう。午後5時には、ひどい「すきっ腹」を抱えているに違いない。それが普通だ。だが数日後には強い空腹感はほとんどなくなってしまう。食べたいという欲求がすぐに弱まるため、それと闘う必要もない。最初の数日はちょっと身体がふらつくように感じるかもしれないが、糖尿病で薬を飲んでいる人でもなければ、血糖値の急激な変動などで気絶する心配もない。 「断食5食事法」はカロリー摂取量を制限してはいないにもかかわらず、すぐに食べる量が自然に減る。だからこそ栄養価が高く、さまざまな栄養素を含む食べ物を摂ることが大切だ。へリングは、野菜と果物、肉、魚、鶏肉を組み合わせて、多様性を持つことを勧めている。 身体がこの「単純な」食事法に慣れてブドウ糖より脂肪を使うようになると、1週間に約300グラム体重が減る。そして、エネルギーのレベルはより一定に保たれるだろう。 【前編を読む】『きついトレーニングをせずにフルマラソンを完走…北極圏で生まれた「驚異的なエクササイズ」』 【前編を読む】きついトレーニングをせずにフルマラソンを完走…北極圏で生まれた「驚異的なエクササイズ」

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