T細胞を教育する「胸腺」組織、人のiPS細胞から作製成功…免疫不全患者らの治療法開発に期待

 免疫細胞を教育・選別する臓器「胸腺」の組織を、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製することに成功したと、京都大のチームが発表した。  免疫機能の仕組み究明のほか、免疫不全の患者らの治療法の開発にもつながりそうだ。論文が25日、国際科学誌に掲載された。  胸腺は心臓のそばにあり、思春期の頃に最も大きくなり、30〜40グラムになる。この臓器が、免疫細胞の一種であるT細胞を、〈1〉病原体を攻撃する〈2〉自己を攻撃しない——ように教育し、機能が不十分な細胞を排除している。  だが、胸腺は20歳頃から急速に衰える。このことが加齢に伴って新しい感染症やがん細胞の出現に対応しきれず、病気が重症化しやすくなる一因だと考えられている。  京都大iPS細胞研究所の浜崎洋子教授らは、iPS細胞から胸腺の一部の細胞を作製。未熟なT細胞と2週間一緒に培養したところ、胸腺に似た直径1ミリほどの組織ができた。  この中で未熟なT細胞が成長し、病原体などを見つけて攻撃する細胞や司令塔の役割を務める細胞に変化することが確認された。  浜崎教授は「今後、生まれつき胸腺の機能が弱い免疫不全症の患者の治療や、高齢者の免疫力を再生させる医療が実現できる可能性がある」と話す。  国立がん研究センター研究所の西川博嘉・腫瘍免疫研究分野長(免疫学)の話「胸腺組織を体外に取り出すと短期間で機能を失うことが課題だったが、iPS細胞から作製した細胞は安定して培養できるので、胸腺の詳しい機能の解明に役立つだろう」

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