借金1億5000万円の姑に「殺すぞ」と脅され…月15万円払って「前妻の子」を育てた40代女性の後悔

重度心身障害児をもつ女性にとって、姑とのトラブルは、実際に当事者会や相談窓口でよく話題に出るテーマである。 筆者の13年の若者ケアラーと就職氷河期ケアラーとひきこもりの経験をもとに運営、代表を務めるケアラーやいきづらさを抱えた人たちの支援団体「よしてよせての会」でも、相談を受けている。 姑が「関わらない」、「手伝えない」と一方的に嫁に言い、夫は何も味方についてくれずストレスを抱えるケースなどの悩みを打ち明ける人がいる。 今回は、重度の心身障害を抱えた「前妻の子」の生活費を成人まで払い続けた40代女性の事例を紹介する。なぜ女性はここまでの負担を背負うことになったのか。 障害のある「前妻の子」の面倒をみろと脅されて… 恵さん(仮名=以下同)は、関西在住の40代後半。20代後半で夫と結婚し、息子と娘がいる。 さらに、夫には前妻の妻との間に重度障害の子どもAくんがいた。 ある日、子どもを福祉施設に預けるか話し合っているとき、夫が恵さんに「子どもたちとAくんを一緒に育ててくれ。おまえしか頼る相手がいない」と訴えた。 恵さんは「Aくんはあなたと前妻の子どもでしょ? 2人で相談して、解決して。私はわが子を育てる時間で精一杯」と反抗したが、夫からは「月30万円の給料のうち、単身赴任で何かとお金を使うんだ。悪いが恵、Aくんと子どもにかかる費用はおまえが働いたうちから出してくれ」と頼まれた。 夫のあまりに身勝手な言葉に、恵さんは「私も働きますけどAくんは貴方の子ですよ」と激怒。 ところが、姑も恵さんに「Aくんも夫の子なのだから面倒をみなさい」と言う。 「お言葉ですが、Aくんは夫と前妻の間にできた子どもで、私が生活費を支払う義務はありません」とキッパリと拒否すると、姑は恵さんに「毎月、Aくんには月15万円の費用がかかるから、働いて払わないと殺すぞ」とまで脅してきた。 恵さんは、姑に強い恐怖心を抱き夫に相談したが、「俺に言われてもどうしようもない。おまえがなんとか解決してくれ」と言うだけ……。 姑や夫との関係をこじらせると面倒だし、わが子に迷惑をかけたくないと、恵さんはAくんを療育園に預け、障害福祉サービス費用の支払いを決意した。 20歳になったAくんを「夫の籍に入れて」と言った姑の意図 恵さんは、育児、子育て、仕事に忙殺される日々が続いた……。 昼間は、子どもが幼稚園や小中高校に通学する間、弁当を作ったり洗濯をしたり、急病で病院に連れて行ったりする生活。夜中から朝4時まではコンビニのアルバイトで寝る時間はぼぼなし……。 それでも、「子どもだけにはふびんな思いをさせたくない」とAくんにかかる費用を払い続けた。 「(子どもが)小学校入学の時は服を近所にいただいたり、晩御飯は余りものを差し入れしてもらうなど節約しましたが、それでも生活は精一杯。貯金も全て使い果たしました」(恵さん) 夫はAくんの事を口に出すと不機嫌になり、姑にはいびられる毎日。なんで私が働いて施設費用を捻出せなあかんのよと、誰にぶつけていいかわからないやり場のない怒りや虚しさがあふれた。 子どもたちは、そんな恵さんの事情を察していて、中学生や高校生の頃になると自ら率先して晩御飯を作ったり、食器洗いをしたり、アルバイトをしたりした。 「息子におかん、生活しんどいやろし大学進学せんと働いて一人暮らしするわと言われた時、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。こんな複雑な家庭事情でありながら、子どもはよく横道にそれず育ってくれたと思います」(恵さん) 気がつけばAくんが20歳になり、これからは子どものために時間が取れると思っていた恵さん。そんな矢先、姑が突然「Aくんを夫の籍に入れてちょうだい」と言い出した。 Aくんは姑の籍に入っていた。つまり、孫であるAくんが、姑(と姑の旦那さん)の養子になっていたのだ。 それにしても、姑はAくんをあれだけ大事にしていたのに一体どういう風の吹き回しだろうと疑問に感じた恵さん。 すると、Aくんが20歳になり姑の籍のままだと自立負担金毎月3万7200円(世帯の収入状況により0円〜3万7200円)が必要なのがわかった。 さらに、衝撃の事実が発覚する……。 姑が嫁から毎月15万を20年間脅し取った理由 恵さんが寝る間を惜しみ稼ぎ続けたAくんの障害福祉サービス費用には、本来手当があったのだ。Aくんは障害認定1級で、毎月5万2400円の特別児童扶養手当が支給されていた。 恵さんはその事実を知らず、身を粉にして働いた自身を悔いた。 だが、なぜ姑は、恵さんに毎月15万円を催促していたのか。 じつは姑は、関西で不動産投資を繰り返し、当初はその売却益を得ていた。しかしバブル崩壊とともに借金が膨れ上がり、最終的には利子を含めて1億5000万近くの借金が発生。姑は、Aくんの特別児童扶養手当5万2400円と夫からの仕送り、恵さんの月15万円を借金返済に充当していた。15年間合計で約8000万円近くにのぼる。 残りの7000万円は姑の夫が大学教授として長く勤務した給与と退職後の年金が多かったため、じょじょに返済し完済した。 しかし、今も恵さんの負担は続いている。 姑は数年前にアルツハイマー型認知症発症し、医療保護入院も費用が必要なのに、夫ではなく恵さんが不足分を補填。 「Aくんも、実の両親の介護費用もほったらかしで私に丸投げです。老後の蓄えや子どもと旅行に行きたかったのに全然ぜいたくができず、姑にほとんど時間、労力、お金を費やしました」(恵さん) いまも後悔が止まらないという。 後編記事〈知らないと2000万円の損?姑に騙され「前妻の子」を育てた40代女性が利用すべき制度とサービス【支援者が解説】〉では、もしも恵さんが知っていたら負担をもっと軽くできただろう、子どもに対する手当や、公的な貸付制度について紹介する。 奥村シンゴ 介護福祉ライター、講師、支援団体「よしてよせての会」代表。 NHKで解説の他、取材・執筆や大学・自治体など講演多数。また、大阪や兵庫(宝塚中心)に啓発や居場所活動を積極的に展開中。 著書『 おばあちゃんは、ぼくが介護します。 』2023年夏国際ソロプチミスト神戸東クローバー賞受賞。介護離職や若者ケアラー〜就職氷河期10年(ダブルケア、ひきこもり含)経験。生粋の阪神ファン。 ツイッター okumurashingo43 Facebook、TikTokは 奥村シンゴ で検索 【後編を読む】知らないと2000万円の損?姑に騙され「前妻の子」を育てた40代女性が利用すべき制度とサービス【支援者が解説】

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