待望の新刊『異端思考』を上梓した、「バズる寿司職人」として今話題の渡邉貴義氏。福岡県北九州市にある小さな寿司店の三代目だった渡邉氏は、どのようにして世界中を飛び回る寿司職人にまでのぼりつめたのか? その成功の秘密を、渡邉氏みずから語ってくれた。 海外からのオファーはInstagram経由で来る 海外の企業やVIPからの依頼は、いずれもInstagramのDMからやって来ます。 別に自分から特に営業をしたわけではありません。 コロナ前から地道にInstagramで照寿司の活動を発信し続けてきたことが、こうやって世界から声がかかる源泉になっているというか、信用になっているのかなと感じています。 しかし昭和生まれの自分にとっては、InstagramのDMで仕事が来るというのは、そういう時代だということはもちろん理解していますが、正直面白いものだと感じています。 DMの中にはもちろん怪しいものもあります。怪しそうな人からのDMは、まずは送り主の名前で検索をしてフィルターにかけたり、あまりに幼稚なものは相手にしません。文面などである程度の見分けはつきますしね。 呼びたい人にはいくらでもお金を出す 海外の富豪や大企業とやりとりをしてきて分かったのは、彼らは「呼びたい人にはいくらでもお金を出す」ということです。 もちろん金額は常識の範囲内ですが、とはいえ一般の人が想像する金額とは桁が2桁違います。 彼らに「ディスカウントをして、少しでも安く呼びたい」という発想はありません。払える範囲でなら、といってもその範囲もとても高いわけですが、相手の希望の額を出したい、そんなスタンスです。 海外では、サッカーチームを自分の国に招聘するために、ギャランティを何百億円払う、という世界もあります。 さすがに照寿司のギャランティはそこまでの世界ではありませんが、「寿司」という食べ物はもちろん、照寿司のエンターテイメント性に価値を認めていただいて、照寿司にもそれなりのお金を出すと言ってもらえるのは、すごくうれしいことです。 成功の秘訣は「やり続けること」 今の状況になるにはInstagramの功績も大きいです。 Instagramでは照寿司の世界観が分かるような投稿を長年上げ続け、チャンスが来たらチャンスを取りに行っての繰り返しでした。もちろん、だからこそ今の状況があります。 しかもそのチャンスは、いつやってくるか分からない、来るかどうかも分からない、という状態でした。ですけど、めげずにやるしかない。そう思って何年もやり続けてきました。 でも、意外とみなさんそれができない。途中で心が折れて諦めてしまったり、どこかでできなくなってしまうわけです。すぐやめてしまう。 つまり自分が続けていれば、周囲がどんどん落ちていく。ですから結局やり続けた人が勝つわけです。成功の秘訣は? と聞かれたら当たり前すぎることなんですが、「やり続けること」です。 では、どうして自分が、めげてやめなかったかというと、暇だったからというのが実は大きいんです(笑)。でも、Instagramの投稿を、自分の人生というか、生活のルーティンに入れた、というのがあると思います。 人間は、朝・昼・晩と食事をしますが、そういった人間が生きていくのに欠かせないもののつもりで、Instagramにも取り組んでいました。生きていくためには食事を抜くことがないように、Instagramの投稿も欠かさない。 それぐらい徹底してやらないと、チャンスをつかむのは難しいと思います。 自分の人生の「10年後」を見よう しかもInstagramは無料です。 無料で世界中の人たちの投稿を見ることができる、いわばSNS上での最高の世界が見られるわけですから、やらない手はありません。世界で流行っていることで、それがまだ日本に持ち込まれていなければ、それを自分が行って、日本での第一人者になってもいいわけです。 なかなか続けられないという人は、自分の人生の「10年後を見る」ということをしていないからです。 10年後、自分がどうなっていたいか? そのためには今何をしたらいいか? それについて思いを巡らせている人は本当に少ないです。 自分は、Instagramを10年続けて、今の場所に立っています。 10年前にInstagramを始めて本当によかった。ここまでなれるとまでは予想していませんでしたが、それでもこのInstagramを今始めたら、戸畑の照寿司がもっと世界に知られるようになるはず、と思って始めました。 他の人は、なぜ自分の10年後を考えてInstagramをやらないのでしょうか? もちろんそれはInstagramでなくてもいいのですが、10年後のために今できることは何かしらあるはず。それをしない人がほとんどなのが、とても不思議です。 今の自分の一つ一つの行動は、全て先へ繋がっているわけですから、それを意識しながら日々を送ることはとても重要です。 そのうえで、運とかチャンスというのがやってくるのだと思いますし、やり続けることでしか周囲の人には、気づいて認めてもらえません。 続けることでしか、チャンスを手にすることはできないのです。 【もっと読む】市場規模は5年で2倍に…AIブームで需要爆発の「データセンター関連株」6選を実名公開【日本株】